これが正しい、という長期修繕計画表はない。マンションの数は戸数にすると600万戸を超えているし、形状、立地もすべて違う。それぞれのマンション特有の問題が必ずといってよいほど発生する。そのため修繕の計画もマンションによって違ってくることは当然だと思う。
「管理計画認定制度(2020年4月スタート)」では長期修繕計画表は、国交省のひな形である長期修繕計画作成ガイドラインの標準様式に準拠することを推奨しているが、前述のような理由で、まったく同じように準拠することが不可能なため、考え方さえ準拠していればよいとされる。
問題は、どの程度の違いまで許容範囲かということだ。前回のブログでは標準様式4-1について説明した。今回は、計画表の見直し期間について考えてみたい。
国交省の発表では、長期修繕計画表の見直しは7年以内に行われているかどうか、ということを要件としている。これまで長期修繕計画表は一般的に5年ごとの見直しと言われていたから、むしろ期間は伸びている。これについては、いろんな考え方がある。最新のマンション標準管理規約での考え方は、期間を明記せず、定期的な作成・見直しを推奨している。また最新の(令和3年9月改訂)長期修繕計画作成ガイドラインでは、見直し期間は5年をめどに調査診断が必要であるとされており、それぞれの立場で見直し期間はやや曖昧である。まとめると以下のようになっている。
①管理規約ー定期的
②長期修繕計画表ガイドラインー5年
③管理計画認定制度ー7年
要するに7年以内に、実施すれば問題はないだろう、という考え方だ。5年ほど経過すれば建物の調査・診断を行い、計画表を再作成して総会に上程する。そのためには7年ほどかかるだろう、という考え方だ。大事なことは、長期修繕計画表は総会の承認を経る必要があるということだ。これは普通決議(有効議決権の過半数で可決)でよい。
7年ごとに建物の診断調査を行い、計画表を再作成するには費用もかかる。そのため標準様式では、調査診断費用と計画表作成費用を計上するような案になっている。この2つの費用は見落としがちだ。
長期修繕計画表の認定申請日という言葉がある。これは管理計画認定制度の場合、認定長期修繕計画表が、いつ公のものとなったのか、という意味だが、これは総会で承認された日だ。つまり計画表の起算日は総会当日ということとなり、これを証明するために長期修繕計画表と総会議事録が必要となる可能性がある。