諸経費とは何を指すのだろう? 業者の利益(;^_^A)違うよね。
長期修繕計画表を作成しているマンション管理組合は多いと思います。私もお世話になっているマンションで、長期修繕計画表の無いマンションは無かったはず。ただし、その作成過程や重みはそれぞれだ。総会決議を経ていないマンションもある。理事会主導で作成して、総会などの場所で説明をしただけというものなどもある。また管理費等の値上げの根拠として作成したものもある。管理費等の値上げは総会決議を経ているが、その参考資料として長期修繕計画表を提示して、計画表そのものは決議していないというケースもある。だからと言って、そのマンションに長期修繕計画表が無いとは言い切れない。
来年からスタートする「管理計画認定制度」では長期修繕計画表の存在は、絶対的な認定要件となっているが、これは総会決議を経なければならない。今後、管理費等(とくに修繕積立金)の値上げをする場合も、まず長期修繕計画と資金計画表を議案として決議したのちに、管理費等変更の議案を決議したほうがよさそうだ。
さて、この長期修繕計画表を作成する場合だが、実際には専門家でないと、なかなか作成できない。もちろん管理組合の中でも修繕等に詳しい組合員がいれば、作成することも可能だろう。しかし、一般的には、管理会社に管理業務を委託しているマンション管理組合は、管理会社に作成を依頼することが多い。設計事務所などに依頼することも十分に可能だが、費用的に管理会社がもっとも安いと思われる。
長期的なマンション修繕計画は管理会社の義務である。これは重要事項説明書にも明記されていることが普通。しかし、ちゃんと有償と書かれているはずだ。管理会社は長期修繕計画の作成を依頼された場合、自社で作成をすることが多い。やはり管理会社としては、修繕計画を自分たちで管理しておきたいという考えがある。そのため、重要事項説明書に有償と書かれていても「無償で行います」という管理会社も結構ある。私は、この場合は、「有償で、しっかりしたものを作成してもらいましょう」と言うことにしている。簡易的な長期修繕計画書は、ネット上の無償ソフトなど(住宅金融支援機構など)でも作成できる。そのような無償ソフトではなく、管理会社に有償で劣化診断を行い、標準仕様にのっとった長期修繕計画書を作成してもらうべきだと思う。
「管理計画認定制度」では、標準様式にのっとった長期修繕計画表を作成し、これに基づき算定された修繕積立金が総会で決議されていることが認定の要件となっている。こうなってくると、やはり全くの素人では作成は困難だ。標準様式とは何か。これは、国交省が発表している長期修繕計画表ガイドラインのことだ。これは平成20年に発表されたものが、つい最近(令和3年9月)に改訂された。つまり最新版が、「管理計画認定制度」に合わせたように発表となっている。なんと100ページを超しているため、素人で読んでいると、疲れてしまう。
このガイドラインに様式4-1とある。そこに計画表のひな形が明記されている。それによると長期修繕計画表の修繕項目は以下のようなものが必要だとある。
①仮設工事
②屋根防水
③床防水
④外壁塗装等
⑤鉄部塗装等
⑥建具・金物等
⑦共用内部
⑧給水設備
⑨排水設備
⑩ガス設備
⑪空調・換気設備
⑫電灯設備等
⑬情報・通信設備
⑭消防用設備
⑮昇降機設備
⑯立体駐車場設備
⑰外構・附属施設
⑱調査・診断、設計、工事監理等費用
⑲長期修繕計画作成費用
※諸経費
以上19項目+1項目(※)合計20項目ともいえる。
これが標準様式だ。もちろんマンションによって必要のない項目もあるだろう。立体駐車場の修理はマンションにとって大きな問題だが、駐車場のないマンションもある。その場合は、同項目が無いこととなるが、同マンションには駐車場がないということを明記する必要がある。つまり計画していないというわけではない、ということを明記しなければならない。
同様式を見ると、⑱⑲が入っていることに気がつくだろう。つまり建物自体を調査したり診断することは管理組合の業務として当然必要で、費用がかかるということ。また長期修繕計画表を作成すること自体が有償であるべきだ、という考えなのが分かる。
また19項目以外にも※として諸経費を書き込むケースも多い。これは何か。あるマンションでは、諸経費を入れ込んだ長期修繕計画表を管理組合に提示した管理会社が説明を求められ、「諸経費とは会社のもうけ」と回答したのを見たことがあるが、それは見積書の話であって、長期修繕計画表は修繕の見積書とは違う。諸経費とは現場管理費、法定福利費のことを言う。だから、その年に工事項目が何もなければ諸経費もゼロというわけだ。
この標準様式の4-1以外には4-2,4-3、4-4とあるのだが、基本的には、より細かい小項目や工事内訳書が表示される。一般の人が目にするのが、総括表とよばれる4-1である。
もちろんマンションによって、独自の考え方があるため、必ず同様式にそわなければ、ならない、というわけではない。「標準様式への準拠」とは標準様式と同一という意味ではなく、同様式に基づく考え方で計画を作成することを準拠というらしい。
長期修繕計画案のガイドラインは、同ホームページの資料箱をクリックしてください。③として国交省の資料(長期修繕計画ガイドラインー令和3年9月改訂をのせています。