修繕積立金ガイドライン 初の改訂

     月額㎡あたり132円上昇

 9月28日、国交省は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を改訂し公表した。これまでの修繕積立金の算出方法を見直しており、平均値の目安も見直している。
同ガイドラインは2011年に策定されて以来、初めての改訂となる。今後、同ガイドラインは、5年程度ごとに見直しを行なっていくとのことだ。今回のガイドラインの見直しは、別途に来年4月から実施予定の「管理計画認定制度」の認定基準に使用される。
 むしろ、言い方は逆で、「管理計画認定制度」の始動にあたって、同ガイドライン見直したというところだろう。

 同ガイドラインをより詳細に見ていくと、階数と延べ床面積の差によって、基準額は違っている。同ブログのサブタイトルに載せた、132円上昇というのは、20階建て以上のマンションにおける1㎡あたりの積立金額の値上げ例だが、これまでは1㎡206円だった。

 私の個人的な感想(これはあくまで個人的ブログであるため)では、従来の1㎡206円という金額は、決して安くなく高くなくという数字だったと思う。しかし、同時に、将来的にみていくと、いずれは積立金が足りなくなってくるかな、という感じでもあった。

 私のお世話になってきたマンションは新築直後から築20年くらいが平均で、もっとも築年数が経過しても40年~45年だった。そこまでは、なんとか㎡200円台で推移してきた。しかし、今後、エレベータの改修または新規交換、給排水管の更新または新設となると、早い段階で積立金を値上げしておく必要性も感じていた。

 建物自体と居住者の同時に2つの老いがきた場合、なかなか積立金の値上げは困難かも知れない。

 また国交省も「建替え円滑化法」を整備し、また要件を緩和しても、実際に同法を利用した建替えは、日本では100棟ほどで、戦後、日本で建替えたマンションは250棟ほどだ。国も、マンションについては、当面は、建替えではなく延命措置をとる必要性を痛切に感じていると思われる。

 管理会社であれ、マンション管理士であれ、築60年前後のマンションを、それほど管理した経験は少ないと思われる。私も築45年のマンション管理が最高齢だ。
 しかし、今後は築40年を経過したマンションが、統計的に増えてくることは確実。現在、東京都をはじめ、各地方公共団体では、機能不全マンションの洗い出しをしているが、この機能不全というのは、管理組合として機能していないという意味で、建物の維持管理という側面については、想像以上に存在することに、地方公共団体も国も気付き始めている。

 誰も住んでいない分譲マンションというものも存在し始めた。滋賀県野洲市の行政処分で解体したマンションも当ブログで紹介した。

 管理業務主任者という資格は、おもに管理会社が日常にマンションの管理組合運営をサポートし、建物の躯体設備を維持管理できるだけのスキルをもった資格と位置付けている。マンション管理士は、建替えまでのことを想定している資格であるともいえる。
 しかし、実際に建て替えを実践したマンション管理士は非常に少ない。建替えたマンションが少ないのだから、当然のことである。

 今後、マンション管理士の仕事は、建替えよりも延命措置をいかにとるか。孤独老人や空家となったマンションをいかに少なくする等のマンションの老いに対応できるスキルを持たなければならないのかも知れない。

 

 

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