マンション管理新聞社が実施しているマンションの管理費・修繕積立金設定額調査が発表になった(2021年6月15日号、25日号)。同社は過去に17回の調査を行っており、データは東京都23区と市部に分類されている。
東京都のデータであるため東京都以外の道府県においては少し数値も違うだろうが参考になると思われる。
同調査によると既存マンションの平均積立金(㎡あたり)は194円。例えば、60㎡の専有部であれば、積立金は月額11,640円となる。
同データは築年数別にも公表されており、このデータは興味深い。5年未満の既存マンションの平均積立金は113円(㎡あたり)、築年数50年以上のマンションでは221円(㎡あたり)となっている。つまり築年数が50年ほど違うと積立金は約倍2倍となっている。
さてこのようなデータをどのように利用するかということであるが、やはりご自分のマンションの積立金を検討する際の参考にすることでしょうね。積立金を改定する際の居住者(組合員)への説得材料にもなるでしょう。
しかし、実際に積立金の適正価格というものは、そのマンションそれぞれに独自の根拠が必要であることは間違いありません。これらの平均値もマンションによって、機械式駐車場の有無によってかなり意味あいが変わります。とにかく機械式駐車場の長期的な修繕費はかなり高額で、使用料金だけでは賄えないことが多く、どうしても修繕積立金から持ち出すことが多いからです。
修繕積立金の適正価格は、それぞれのマンションで作成する長期修繕計画を根拠にすることが多いと思います。しかし、その長期修繕計画さえも一般的な作成方法があるものの、やはりマンションの特性により内容が大きく違います。また部位の数値が明確であっても修繕仕様によって大きく金額が左右されます。
つまり上記のようなデータはあくまで参考地として見るべきです。だからといって決して無視できるものでもない。なぜなら、私の個人的感覚ですが、194円(㎡あたり)といいう金額では、必ずしも将来の修繕に対して潤沢とは言えないと思います。
単純に計算してみます。100世帯のマンションを考えます。専有部が60㎡平均だとして、月額1,164,000円。年額13,968,000円。これが10年だと139,680,000円。これは、ほぼ10年ごとの大規模修繕金額だと思えます(もちろんマンションによって差異はありますよ)。つまり20年目くらいのマンションの大規模修繕工事ならカバーできても、20年以降のマンションは、エレベータ、給水管、排水管等の修繕が今後行われていくと、まず修繕積立金は足りなくなります。
つまり、今回のデータは、最低ラインとして必要な額と、とらえていくべきではないかな、と思います。
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