管理費等滞納を処理するルールとは(2)

  前回のブログの続きです。

 管理費等の滞納があった場合、その回収方法などを詳細にルール化しているマンションって、そんなに多くないんじゃないか、という話です。

 前回お話ししたように、管理費等の滞納に対する督促等については、管理会社との委託契約に基づいて、管理会社任せにしている管理組合がほとんどだと思う。

 そこで今回は、自分たちで(管理組合で)ルール化する場合、まず言葉を定義づけたいと思う。実際には、管理費等の滞納については、未納、未収、滞納、未払い等、いろんな言葉が使用される。まあ、どれも困った状況に使う言葉だけど、、、。

 実際には、定義づけは管理組合で行えばよいと思う。どういうことかというと。滞納とは、どのような状況を言うのか、自分たちで考えてルール化すればよいということ。

 例えば、以下のような場合、どのように考えればよいのだろうか。
 8月分の管理費等を前月(7月)の25日に引き落とすよう決めている管理組合があったとしよう。Aさんの管理費等が引落不能となった。残高が足りなかったということです。当然、管理費組合の口座にはAさん宅の管理費等が入らないのだが、じつは7月25日に引き落とした管理費等は、8月分の前受という扱いになる。この前受という単語は、簿記の用語で、貸借対照表でいう負債項目だ(少し難しい言い方をすればバランスシートの右側ということ)。これは、どういうことかというと、7月25日に引き落とした管理費等は、まだ8月分となっていない、という考え方だ。
 つまり簿記的な考え方でいえば、8月分の管理費等は、8月にならないと発生しない。前受というのは、前もって預かっておきますよ~、って意味。ということは、Aさんの8月分の管理費等は、まだ発生していないから、引き落としができなくっても、これは滞納ではないという考え方もできる。滞納でなければ、遅延損害金はつけれない。
 ん~っ💦、簿記って難しいですよね。

 結局、8月分の管理費等は8月中に払えば、滞納ということにはならない。という考え方だ。これが9月になってもAさんが払わなければ、Aさんは、8月分を滞納したことになる。だから7月25日の引落ができなくても、Aさんが8月15日に管理組合の口座に8月分を振り込んできたら、滞納は発生しなかったことになる。

 つまり何が言いたいかというと、滞納というのは、どの段階で引落をして、どの時点になったら発生するかということを明確にしておかないと滞納者と決めれないということだ。
 同時に、遅延損害金もどこからかければよいのか分からないということになる。

 つまり、管理組合で上記のようなことも含めて、言葉の定義を明確にして、どれが滞納かということを具体化しなくてはならない。そのうえで、滞納の何か月目から遅延損害金をつけるとか、つけないとかを決めないといけない。

 また督促方法も、滞納が1か月なら引落不能通知。その場合、次回引落時に2か月分同時に引き落とすか、やはり早い段階で振り込んでもらうか。3か月滞納したら督促状を送付するとか決めておくべきだろう。
 一般的には、管理会社の委託契約でも、6か月の滞納で法的措置に移行すると書かれていることが多い。法的措置といっても、まずは配達証明付き内容証明を管理組合かもしくは弁護士名で郵送することが多い。

 注意したいことは、そこから先は、管理会社は、管理組合の指示がないと、あまり能動的に動かない。

 もともと管理費等の滞納があった場合、債権者は管理組合であり、管理会社ではない。自分たちの借金でないのだから、そこまで力を振り絞って回収はしない。とくに、サラ金のような取り立ては絶対にしないし、管理会社がそのようなことをやったら、弁護士法にひっかかる。
 最後は管理組合が主導で動かなければならないことは、知っておいたほうがようかも。
 

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