9月28日、国交省が長期修繕計画標準様式、作成ガイドライン・同コメントを改訂発表した。
この発表が行われたのには、ここまでの流れと社会的背景があるのだが、簡単に説明すると、築年数が経過したマンションが多くなってきたということ。それに伴い、居住者の高齢化があげられる。
マンションは築年数が経過すると、建替えるという方法があるが、実際は建替円滑化法が施工されても、実際のマンションの建て替えは、ほぼ実績がないといえる(日本では250棟ほど)。つまり、築年数が経過したマンションは建て替えではなく、延命措置をとっていかなければならないということ。
そのために、より長期的な躯体維持の計画が必須とされているのだ。
今回の改訂では、既存マンションでは25年とされていた計画期間を30年とし、かつ同期内に2回の大規模修繕工事を計画しなければならない。
上記のようなガイドラインの改訂は2008年以来である。今回の改訂は同時に、マンション標準管理規約(今年6月に改訂)にも反映されている。同管理規約の第32条の関係コメントでも計画期間は30年とされた。この30年という計画期間は、来年から始動する予定である管理計画認定制度の認定要件にもなっている。
もちろん、マンションには独自性があり、それぞれの管理組合の考え方で躯体の維持に対する考え方も異なることは事実。そのため、いくら作成ガイドラインが改訂になったとしても、すぐに再作成をするマンションは、まだそれほど多くないだろう。また、間違いなく築50年で建て替えに踏み切るというマンションがあった場合、これから30年の計画期間は必要ない、と判断するような管理組合が出現してもおかしくはないと思われる。
さて今回の改訂では、計画期間を25年から30年としたほか、各修繕項目の修繕周期もかなり変化している。結果、それぞれのマンションの実情にあわせて策定するしかない。
例えば、屋上防水(露出)は修繕周期24年から30年。給水管の更生は15年から19年~23年。このように多くの部位の周期が伸びているのだが、その逆に軒天塗装は、36年周期が24年~30年と短くなっている。これについては実情にあわせたものだろう。軒天塗装はリシンの吹き付けが多く、これは施工状況にもよるが、かなり早い段階で塗装が剥離してくることが多い。
今回の改訂で、特徴的なことは、「専有部工事項目(専有部分配管)」が新設されていることだ。これは前回ブログで説明した改訂管理規約第21条コメントのことだ。管理規約を改訂して、専有部の配管工事を共用部と一体化して、修繕費用として支出できるようにしておくという方法だが、そのためには、修繕積立金の早い段階での値上げが必要となることは必須だと思われる。