妙なタイトルをつけました。居住者が、パニックになる時って、どんな時でしょうか。そんな時が来たら、困るのですが、たまにあります。もちろん地震塔等、天災はそうなのですが、そんな人命に被害が起こるようなことは起こってほしくないですし、そんな時でも、居住者って、意外に冷静です。マンションによっては、普段から防災訓練を徹底しているところもありますし、天災は、だれかに不満を言うべき時ではないことを皆さん十分に把握されています。
じゃあ、住民がパニックになる時ってどんな時でしょうか。予想外に設備が壊れたときです。もちろん地震でも、設備の不具合は起こります。でも原因が地震であれば、誰かに当たることもできませんので。
私の仕事柄、普段から各種設備の不具合がないように気を使っています。もちろん、管理会社に勤務している時は、特にそうでした。やはり管理会社は、建物の躯体の維持管理はもちろん、設備の管理も委託契約に入っていますので、その管理責任はあります。設備の寿命や劣化は、ある程度は仕方ないでしょうね。電球が切れたするのは、仕方がないですよね。問題は、切れた電球をずっとそのままにしておくことが問題です。最近は蛍光灯の生産がのきなみ中止(2019年~2020年)となり、多くのマンションでLEDに交換されつつありますので、管理員さんは、かなり楽になったのではないでしょうか。
私は管理会社のフロントをしていた時に、自分が担当しているマンションの電球の総戸数と種類をほぼ頭に入れていました。担当物件の総電灯数は3,000個くらいありましたから、必ずといってよいほど、一日に数個はどこかで切れている計算になりました。もちろん、ほとんどのマンションでは管理員が電灯交換してくれましたが、管理員さんは年配の方も多く、ある年齢以上の方は、規定で脚立に乗ることを禁じていましたので、私が現地に行って交換することもままありました。今は、どの管理会社も、対応マニュアルを作成して、連絡から在庫確認、交換まで、一連の流れの中でスムーズに仕事が効率よくこなせるよう工夫していると思います。
さて話をパニックに戻しましょう。通路の電球が切れたくらいでは、居住者様も、そうパニックにはなりません(たしかに暗いと危ないですけど)。
皆様も少し考えて見てください。普段のご自分の生活で、これが突然止まると何が最も困りますか。人によって違うとは思いますが、かなり共通しています。以下、パニックになりやすい設備不良をあげてみます。
・給水ポンプ
・TVブースター
・エレベータ
・機械式駐車場
(給水ポンプ) 一昔(ふた昔かな)前は、給水ポンプのオーバーホール(メンテナンス)というのは、本当にメーカー(エバラとか)の専門家が来て、ポンプを分解して、コイルなんか巻き直していましたが、今はそんなこと絶対にしません。たぶんできる人も、いないと思います。だからオーバーホールと言ってもオーリング替えたりといったこと。それでもやったほうがよいです。また給水ポンプに附属する設備(圧力タンクや制御盤)も常に点検しておいたほうがよいでしょうね。
(TVブースター)
これは、突然壊れるので注意です。たぶんTVブースターを普段から点検しているマンションは少ない。どこにあるかも把握されていないことが多いです。ブースター、つまり増幅器ですが、だいたい1台で数階をカバーしていることが多い。つまり3階と4階の居室のテレビが映らないというクレームが来たら、そこをカバーしているTVブースターが故障です。今の時代、テレビが映らないことのクレームは本当に大変です。最近は、アンテナではなく有線でテレビを見ているマンションも多い。こういう場合は、ブースターが有線会社の保有になっていてメンテナンスも有線会社の義務となっていることが多い。この場合は、有線会社がすぐに交換に来てくれるのでありがたいです。
最近はテレビよりPCかも知れませんね。インターネットをVDSL方式(マンション内に設備機器を置く方式)で利用しているマンションは要注意です。ネットで仕事していたり、今のように在宅勤務が多いとトラブルの種になりますよね。昨年、あるマンションで自家用工作物点検(全館共用部停電の必要あり)を実施した時に、その日、小学校が在宅授業になっていて、いきなり授業が途切れ大変なことになった。前もって広報していたので、それほど指摘されなかったですけど。
(エレベータ)
私は、地震以外で、エレベータの停止の経験はないのですが、居住者が利用している時の停止は要注意ですね。普段からエレベータ停止の際の対応を防災訓練等で練習しておく必要があると思います。
(機械式駐車場)
車で仕事に出られる方も多い時代ですから、普段から駐車場のメンテナンスは必要です。また駐車場の事故は人身事故にのつながりますから、必ずメンテナンス会社にメンテンを依頼しておくことが必要です。
こうして4つほどの設備を見てきましたが、じつは、上記の4つの設備、すべて電源があります。つまり共用部が停電したら、すべてとまってしまうということを覚えておいてください。エレベータのみ、しばらくの間、自家発電がある場合が多いですので、緊急時のエレベータの動きも同時に把握しておきましょう。停電時自動着床装置があるかどうかをまず確認しておいてください。
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