専有部をリフォームする際に、管理組合に許可申請書を提出することを義務としているマンションは多い。管理組合の活動は、共用部の保善維持に限定されているが、専有部のリフォームを許可する立場にない。しかし、上記のように専有部のリフォーム申請を義務付ける管理組合は多い。一見、専有部に対する権利の侵害のように思えるが、これはリフォームの実施を許可したり不許可にしたりする権限ではなく、予定される工事が共用部に対する影響がないかどうか。共用部そのものの工事でないかどうかの確認。管理組合が管理する部分に対する変更行為がないか等を確認するための承認行為である。
という上記の考え方は私の判断です。💦
現実に、どのマンションでも専有部のリフォーム申請が必要なことは規約や細則に書かれていることが一般的です。マンション管理の仕事を始めた当初は、この申請の必要性に若干の疑問を感じましたが、実際に現場にいると、この申請が必要であることが良く分かりました。
例えば、あるマンションでは、室内の火災警報器は管理組合で管理しており故障等も管理組合にて修理、交換をします。当然、年2回の消防点検も管理組合管理ということが前提で行っています。そのため専有部で勝手に取り外しや、位置の変更もできません。しかし、専有部のリフォームをした場合に、火災警報器を勝手に取り外したり、新規を設置したりすることが意外に多いのです。また、めったにないことですが、躯体(共用部)そのものに穴を開けたり(クーラー設置のための配管を通すために)するケースもあります。5年ごとに管理組合で交換しているガス漏れ警報機をまったく違うものに違った位置に変更してしまったりされたケースも経験しました。
よくあるのが、フローリングの張り替えですが、これは管理組合で遮音性能が決まっている場合もままあります(L値45以上とか)。
この業界に長くいると、リフォームの申請をせずに、いきなりリフォーム工事が始まったなんてことは山のようにあります。いきなり、上階や近隣より「すごい工事音が響いてきている」「知らない業者が資材を運ぶ途中で共用部を傷つけた」等の連絡をもらって現場に行くと、専有部の工事が始まっていました。あまり悪気なく、そのような申請の必要性を知らなかったというケースが多いですね。
専用部のリフォーム工事申請が義務付けられていないマンションでも、管理組合に工事を届けておいたほうがトラブルを避ける意味でもよいでしょう。
いきなり火災警報器が発動してマンション中に火災警報のベルが鳴動して大慌てに。調べたら内装業者が火災警報器の養生をせずに工事を開始していた、なんてことは100回くらいは経験があります(あくまで私の個人的経験ー100回は大げさじゃないです)。
さて、大阪のあるマンションで、新型コロナウィルス感染症予防対策を理由に専有部リフォームの申請を受理しない方針を設けたとのニュースが伝わってきました(マンション管理新聞7月15日号)。
リフォームを申請した法人区分所有者の宅地建物取引業者が今年6月に工事の実施を認めるよう大阪地裁に仮処分の申し立てを行ったようです。管理組合は申し立ての却下を求めているようです。