マンションの管理員さんに、共用部の電球を交換してください、とよくお願いすると思います。居住者が直接、お願いすることは少ないかも知れませんが、管理員室の前など通りがかりに伝えたり、管理会社の担当に連絡し、そこから管理員さんに連絡がいくケースもあると思います。
マンション共用部の電球交換はだれの仕事でしょうか。正解はありません。あえていうなら、管理組合のお仕事でしょうね。だけど、それを管理会社に委託しているという考えであれば、管理会社の仕事ともいえる。
要するに、責任者はだれかという問いを立てれば、それは管理者ということになり、管理者は管理組合であり、業務を委託している管理会社ということになります。つまり、だれが替えても問題はないのですが、普通は管理会社の仕事だと判断されています。
でも、委託契約の仕様の中に電球交換まで明記されているケースは、あまりないような気がしますが、共用部の一般管理と考えれれば、管理会社の仕事ともいえます。なぜなら、普段の巡回点検業務は、管理会社の委託業務であるので、電球切れに気づくのは管理会社だからです。それでも常駐管理(24時間住み込み)のマンションは今減っていいます。だから夜には、管理員さんがいないマンションも多い。電球なんて、いつ切れるか分からないので、気づいた方が交換してくれても問題はありません。だって、ご自分のマンションですから。
私は、管理会社に在籍していたころ、担当の理事さんに交換を頼んでいたこともありました。管理員さんもいなく、何日も管理会社担当者がうかがえない場合だってありますから。
大事なことは、電球交換の際に脚立を使用したりするケースです。誰が作業をするかよりも、作業をしている方にけがをしてもらっては困るということです。
同時に、こう考えてほしいのです。いつも電球交換されているのは、安全に問題なく、誰かが交換してくれているのだなあ、って。
前置きが長くなりました。今回は、脚立を使う作業のお話です。多くは管理員さんが使用することが多いのではないでしょうか。共用部の電球交換や少し高い位置の清掃や点検などです。
以前もこのブログでお話ししたことですが、管理員さんと管理会社本社のフロント担当さんと、うまくコミュニケーションが取れていないケースがあります。お互いに相手のことを考えてあげる余裕がなくなってしまったときに事故が起きます。
管理員さんの研修を常に行っている管理会社もありますが、正直に言って、そんなに多くの会社が管理員さん研修を丁寧に行っているとは思えない。どちらかというと管理員さん不足です。管理会社から派遣会社に依頼しているところも多い。そうような場合、管理員さんは管理会社での研修はおろそかになります。
たとえば、「マンション管理員検定」という検定試験があります。これは民間資格ですが、最近は、この試験を受験して管理員さんになる方もいらっしゃるようです。その検定テキストの中にも「脚立の使い方」というページがあります。つまり管理員さんの仕事には脚立は、必ずついてくるわけです。
私は管理会社在籍当時は、自分の担当の管理員さんの年齢から判断して、脚立の使用を禁止している方もいました。「絶対にのらないでね!!」って強く約束しても、のっちゃうんですよね。皆さん、一生懸命仕事されているので、つい脚立使う場面があれば、のっちゃうんですよ。大きな事故は経験しなくてよかったですが、もし脚立にのることがあれば、やはり、そのマンションの在庫としてある脚立の種類や乗り方、安全対策などは雇用主がきっちりと指導しておくべきです。
もし機会あれば、管理会社担当者に聞いてみてください。「管理員さんの脚立使用を許可しているかどうか。安全上の指導をしているかどうか」。ご自分のマンションで誰かが事故を起こすなんて嫌じゃないですか。
脚立の事故は以外に多いのです。とくに高い脚立は絶対に要注意。専門業者に依頼しましょう。2m以上の脚立なんてザラにありますが、労働安全衛生規則によれば、2m以上は高所作業に該当します。きっちりと安全対策をとってから脚立を使用してください。
本当は、どんなに低い脚立でも安全ヘルメットは被ったほうがよいのです。でもそんな管理員さんの姿あまり見ませんよね。そのあたりを見ても、管理会社の指導力の違いが分かります。
仕事のできる管理員さんて、何でもやっちゃいますよね。少しくらいの立木であれば、脚立にのって剪定していますよね。またエントランスにクリスマスツリーを出して、高い箇所の飾りをつけたり、高所に物を置いたり、高い窓を拭いたり、、、。
脚立使用の要注意点は①バランスを崩して転落してしまったり、ロックが不安定で指を挟んでしまったり。これらは当然、労災となりますが、決して起こってはいけない事故です。
脚立指導の要点は、①確実なロック②のる場所は天板から2段目以下③絶対に天板にのらない④荷物をもって昇り降りしない⑤はしごの立てかけは75度がベスト⑥2人作業とする等々。
言いたいことは、脚立にのっている管理員さんを見たら、じつは危険な作業をしていると思ってほしいことです。そして、雇用主が、きっちりと脚立操作の指導を行なっているかどうか、ということ。
マンション管理に脚立という道具は必須のものなのですが、それに誰がのって、だれが作業するのか。じつは危険なもので、指導を受けた方がのるべきなのです。
LECオンラインショップ(E学習センター)はこちら スタディング ビジネス実務法務検定講座