マンションの高齢化について

 戦後、民間のマンションが建てられるようになり、現在、日本では10人に1人がマンションに居住していると言われている。
 築40年を経過したマンションも多くなりはじめ、躯体そのものの劣化と、居住者の高齢化もすすんでいる。
 マンションの高齢化は、役員の成り手不足や空家の問題などを生み出し、今後、日本のマンション行政においても大きな問題となりつつあるようです。

 このようなマンションの劣化、高齢化については、国もいくつかの対策を打ち出しつつあるが、具体的な施策の実行はこれからであり、いずれ、このブログでも取り上げたいと思っています。

 今回のブログでは、私がマンション管理という仕事をさせていただき、いろんな事件に直面してきた中でも、結構衝撃的に覚えている事件を綴りたいと思います。
 もともと、この仕事を始めるときに、「どのような仕事だろう」と想像し、想像通りのことが結構起こったものだ。漏水や騒音トラブルや、一般的な事件が当然のように起こり対応してきた。しかし、その中で、想像を超えた事件が何件があった。それは、「人の死」という問題だ。ずっとお世話になっていた方が亡くなるということは、よく考えれば、普通にあることなのだが、やはり直面すると悲しいし、戸惑うものだ。
 ずっと理事長として長年、タッグを組んで仕事をしてきた方が、亡くなってしまう。朝、車で出かけ「行ってきます」と言った方が、交通事故で遺体で戻って来たこともある。「スポーツクラブに行ってくるよ」と言って出掛けた方が、突然倒れて亡くなってしまったり。

 ある時、ポストに新聞がたまり始めた方がいた。今までそのようなことは無かった。理事長を呼び、玄関からインターホンを鳴らしたが応答なし。普段から一人住まいの方だった。悩んだ末、消防署と警察に連絡すると同時に、(あまり正しい判断でなかったかも知れないが)玄関鍵を開錠した。同時に消防署が到着したので、入室してもらい室内で亡くなっていることが分かった。

 緊急連絡先にも保証人欄にも明記なし。以前のお勤め先は分かったが、退職して10年以上経過していた。

 弁護士に依頼して、近親者をさがし、遠縁の方を探した。その方が唯一の相続人となることが分かったのだが、その方も、自分が遠縁にあたることも知らず、亡くなった方の存在も知らなかった。結局、相続をしてもらい、すぐに売買をしてもらった。このように相続人がいる場合はまだよいほうだ。
 孤独死して相続人を探したが、すべて相続放棄。このような場合が大変だ。
 相続財産管理人を選任するという方法がある。私は2回ほど経験した。
 家庭裁判所に申し立てを行い、マンションを売却して、債務を整理するという方法だ。

 上記のようなことも、今後は多くなってくるかも知れない。

 管理組合は、築年数が経過するとともに、独居老人や認知症の問題。空家などの問題に直面していくことになるかも知れない。とくに居住者の名簿などは必ず整備しておくべきだ、

 マンション管理士や管理会社の仕事も、その内容が複雑化してくるかも知れませんね。

 

マンションの高齢化について」への2件のフィードバック

  1. 個人情報になるので、どこまで踏み込んだ名簿が出来るか検討しなければなりませんが、森さんの意見に賛成です。
    どこまで踏み込むか、誰が管理するか、色々と考えなければなりませんが、私のマンションも高齢化が心配なので、考える機会を作りたいと思います。

  2. 国交省は新たな管理認定計画というプランをはじめ、管理組合のランク付けが必要だと思い始めています。その中で、管理組合が住民名簿を整理していることが大事だとして、住民名簿の管理組合保有が大切なことだと言っています。しかし、これは、あまり表面に出ていないのですが、国交省は、これまで住民名簿は、管理組合のものではなく、管理会社の所有物であるという立場をとっていたのです。これは、あきらかに方針と矛盾します。つまり、国交省の考え方は、住民名簿は管理組合独自で作成しろということではないかと推測しています。

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