仕事柄、管理組合より管理会社を変更したいのでサポートしてほしい、という依頼があります。もちろんお仕事なので、お手伝いさせていただくのですが、結構、大変な作業です。何が大変かって、変更決定後の引継ぎなんです。管理会社変更にいたる諸々の作業は煩雑であっても、手順にのっとれば、以外とスムーズにいくものです。なぜなら、管理会社の変更を望む管理組合は、気持ちとエネルギーが、「管理会社変更に期待する」というモチベーションがあり、意外とすんなりいくことが多いものです(そうではないことも、もちろん経験しましたが…)。
総会決議を経て管理会社を変更したら、管理組合のエネルギーは、そこでいったん収束します。なぜなら、新しい管理会社がうまくやってくれると思いますから。
でも問題はそこからです。一般的に管理会社の変更決議(総会の普通決議によることがほとんど)がなされた後に、管理組合を交えた、新旧管理会社の引継ぎがあります。これが大変。管理会社の変更決議がなされても、その決議結果を全戸に広報し、管理費等の新たな引落手続きを全戸にとってもらったり、落ち着くまでにかなりの時間を要します。また総会決議で変更となっても、総会翌日から新管理会社の管理とはならず、通常3か月くらいの旧管理会社の暫定期間を設けることが多く、その期間内で各事務の引継ぎをおこないます。
この3か月間が勝負です。旧管理会社は、「もう契約打ち切りだから」という感じで、あまり協力的でなかったり、新管理会社はあせって「旧管理会社の協力と情報提出が遅すぎる」という、両者ともに嫌な雰囲気になります。その被害者は管理組合なんですがね。
期中での管理会社変更が多いため、中間的な決算を旧管理会社に作成してもらう必要もありますし、管理最終月の経理処理(領収書綴り、収支、貸借、諸表)をどうするのか。各方面からの請求書の処理(未払いにするとか、云々)、各種設備点検の報告書綴り、保険証券引き渡し、預金通帳の返還等、、、、。数え上げたらきりがないです。
でもこの引継ぎがうまくできないと、問題の引継ぎができないことになります。
私の苦い経験では、新旧両管理会社がともに管理費費等を組合員口座から引き落としたこともありました。そんなことくらい、大人同士でうまくできるだろう、とお思いでしょうね。これができないんです。(もちろん、うまくいくことも多いですよ、、。ちなみに言っておくと)。また先のブログでもご紹介したような、管理会社の返金も発生することもあります。
新旧管理会社の引継ぎは管理会社同士で行うことが多く、管理組合が介在することは少ないのですが、被害は管理組合運営に及びますので、管理会社変更を予定する管理組合様は、必ず総会決議後が勝負だと思い、エネルギーを絶やさないよう頑張ってほしいものです。そのために私たちのようなマンション管理士がいるのですがね。マンション管理士も腕のいい方は別にして、管理会社経験者でないと、そこまで頭が回らない方もいると思いますので、マンション管理士にお仕事を依頼する場合は、新旧管理会社の引継ぎまでお願いすることをおすすめします。
本当に大変ですね。当マンションも一年がかりで変更を進めていますが、管理会社間の引き継ぎは苦労しているようです。前管理会社の対応が悪すぎて、新管理会社の担当者が苦労しています。切り替えて1ヶ月になりますが、まだ引き継ぎが終わらないようです。
総会決議後半年以上経過しますが、前管理会社の担当者は一度も顔を見せません。
この辺も管理会社への法的な強制力が欲しいと思うのは私くらいでしょうか?
宮下一義様 コメントありがとうございます。なるほどなあ。管理会社の引継ぎに対する法的規制って、よく考えたらまったくないですよね。管理中の法的規制は山ほどありますが、国交省も最後はあきらめて、早く変更しなさい、という姿勢なのかな。今後ともよろしくお願いいたします。 MORIマンション管理士事務所 MORI NOBUO