管理費等滞納 遅延損害金

配当要求書(管理組合滞納)

上記資料は、管理費等の先取特権(区分所有法第7条)に基づき行う、債権者(差し押さえ債権者は別)が強制執行手続きに参加して、債権の分配を受けるためのもの。いわゆる配当要求と呼ばれるもので、同資料(東京地裁用)のほか請求者の身分証明書や管理規約、総会議事録などを提出する。
 
 そこで今回も管理費等時効についてのつづきということで。前回のブログは時効の中断でした。今回は裁判の申し立て前の話です。マンションの管理組合で債権(管理費等滞納)についての裁判を申し立てるときには、多くの場合、弁護士さんに依頼することが多いため、上記のような資料は弁護士さんが用意してくれます。
 管理組合としては、裁判に対して、議事録や管理規約(管理費等の額などが明記されているものがよい)等を用意しましょう。よほどのことがない限り、管理費等の裁判で管理組合が負けるということはないと思います(そんな経験はありません)。もちろん、特殊な事情はあるだろうけど、、、。
 さて、今日は滞納額の確定の話しです。滞納額の確定って。これは、私が使っている言葉なので、一般的ではありませんが、裁判に訴える前に、一体、滞納額はいくらなのか、どの時点の金額で訴えるのか。そして、必ず考えるべきことは、遅延損害金を課すかどうかです。これは規定にそった形で、全組合員に対して公平に行うべきです。ここでは遅延損害金と言います。よく「利息を課すかどうか」という表現をしますが、遅延損害金は賠償金であって、利息ではありません。でも、我々一般人にとって、それは理屈で、要するに同じです(同じと言うと専門家に叱られるかも、、、💦)。
 遅延損害金を滞納額にプラスして請求するかどうかということです。そして、遅延損害金の額ですが、管理規約に明記されていることが多いです。明記されていない規約もあります。例えば「遅延損害金を請求できる」という文だったり。はっきりとしたパーセンテージ(滞納額に対して)が明記されていないと(つまり約定がない)、民法404条に定める法定利率(年5%)が適用されます。
 私たちマンション管理士は、管理規約の変更のお手伝いをすることが多いですが、そのような機会があった場合は、私はこれまで遅延損害金を14.6%にしてきました。これには理由があって、消費者契約法の損害賠償額の予定又は違約金の限度は14.6%である(9条)と明記されているからです。
 この利率については、専門家でも意見が違いますから注意してください。14.6%以上でも問題ないという人もいます。ただし、あまり公序良俗を乱すような利率はだめでしょうね。たぶん、あなたのマンションの管理規約は14.6%じゃないでしょうか。たぶん日歩4銭だと365日で計算すると年利14.6%になるというところから来ているようです。
 裁判には初期費用もかかりますし、手間もかかります。その労力分としての遅延損害金は妥当性があるような気がします。まずは、管理規約で5%~20%くらいの間に設定しておくことをおすすめします。
 2,3か月前に、あるマンションの理事長様と初めてお会いしました。そこは100世帯ほどあるのですが、ほぼ館外オーナー(居住せず賃借に出す投資用マンション)です。「管理費等の滞納はないですか?」と尋ねると「ありますよ」とのこと。ただし、このように仰っていました。「最後は必ず払うよ。無理ならどこかが競売にかけて、新しいオーナーに支払ってもらうから(特別承継)、これまで未納となったことはないですよ」。まあ、だいたいそうなんですが、それでも、私は、滞納額が1,000万円を超えて競売決議までは経験していますので、やはりもめるときは中々、困難ですよ。1,000万円なんて、そう簡単に諦められる額ではないので、理事さんたちは回収に頑張りますが、中には10万円ほどの滞納で、行方不明になってしまうとか。こんな時に、必ず話が出るのが、債権を放棄しようという話です。会計上は「損金」という形で処理しようということです。よく聞くのは、(本当かどうか知りませんが)多額の管理費等の滞納をかかえた理事長自信が、自分の滞納を損金としてしまい、すべてをチャラにしてしまったという話。私はそんな理事長様に会ったことはありませんが、(ただし乗っ取り屋という理事長には会ったことがありますーこれはまた別の機会に。)中にはそんな人も出てくるかもしれません。でもそれは絶対にできませんので。
 滞納管理費という債権は、区分所有者全員の債権です。そのため、その債権を放棄するためには、区分所有者全員の承諾が必要です。総会で過半数とか4分の3以上とかで決めることはできません。別の言い方をすれば、それは区分所有法や管理規約の内容では、上程議案として、総会にあげることはできないということです。もちろん小規模マンションならできるかも知れないですね。10人くらいなら、全員宅まわって一筆いただいてくればよいので。
 ただし例外はあります。管理組合が法人となっている場合です。それは区分所有法第52条「集会(総会)の決議を経れば、法人として債権放棄することができる」と明記されています。
  管理費等の債権を放棄するために、わざわざ、組合を法人にしますか?しませんよね。

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