大規模修繕工事の相談を受けることがままあります。計画の初期段階からご相談にのるところや、最後の施工会社の選定だけをアドバイスしてほしいとか、様々です。
そこで大規模修繕工事業者さんの選定の話をしたいのですが、その前に。業者選定の段階で、工事仕様が出来上がっているのかどうかが大きな問題です。工事仕様があれば、その工事仕様にそって、現地説明をし、見積書の提出ということになります。いわゆる「相見積り」というやつです。問題は工事仕様書がまだできあがっていない場合です。その場合は、施工会社にプレゼンをしてもらっても、それぞれの判断に基づいた工事内容になってしまい、相見積もりとは言えません。A社は、屋上防水はウレタンだと。B社はアスファルト防水、C社は「・・・まだ屋上防水の時期ではないので」なんてことになると、どの意見を信じて決めればよいのか。
もちろん後者のような決め方でも、とても気に入った業者さんがあれば、それでよいとも思います。やはり工事というのは、人間がやることなので、いい信頼関係の中でやりたいですから。
とは、いいながらも、、、なかなか、いい業者さんって、見分けにくいですよね。それも工事が始まってみないと分からないこともあるし。
一般的にマンションの大規模修繕を実施する業者さんというのは改修工事専門で行っています。新築を建てる建設会社とは、また分野が違います。建設会社なら、どこでも修繕工事を行う技術とノウハウはあると思いますが、得意かどうかという言い方をすれば、改修工事ははやり改修業者さんですね。マンションの大規模修繕工事を実施する際の選択肢として、たまにでてくる選択肢が元施工業者です。ようするに、そのマンションを建てた建設会社です。「自分たちで建てたマンションだから、一番分っているだろう」という考え方です。私もそう思います。でも実際には、元施工で改修工事を行うマンションって、そんなに多くないような気がします(もちろんありますよ)。その場合は、築後ずっと、アフターサービス等で、管理組合とよい関係を続けてきた建設会社ですね。築後10年くらいたってくると、何らかの不具合が出てきて、元施工側は保証期間が過ぎていますという話で、関係がこじれていることが多い。
それと大手デベの場合は、施工費用はやはりお高いですから、改修業者さんに依頼することが多いような気がします。
そこで改修業者さんの、どこを見て判断するのか。まず一般的なチェックポイントは
・資本金
・売上高
・許認可番号
・現場代理人の人数
・有資格者数
・改修実績数
こんなところでしょうか。
私ならどんなところを見るかというと、まずは「現場代理人」。私は工事の良しあしはここだと思っています。現場代理人の数が多くても少なくても、自分のマンションの工事現場にだれがつくのか、ということ。工事の内容が「常駐管理」か「巡回管理」かを見ましょう。工事は監督で決まります。その監督は、社員さんなのか派遣契約さんなのか。派遣でもいい方はいます。でも、その工事のためだけに契約する方もいて、その会社での実績がない方もいる。その場合は、必ず契約前に、管理組合はお会いしておいたほうがいいですね。
大規模修繕工事が決定するには、総会決議が必要だと思いますが、そこまでは、どの施工会社(改修業者さん)も、ほぼ営業が前面に出て、管理組合と折衝しています。工事契約が終わってから工事監督が出てくるケースがほとんど。私は工事は監督で決まってくるので、無理を言って、どの方が監督になる予定なのかくらいは、必ず聞くようにおすすめしています。
やはり、いい監督さんって、「この現場で工事をしてみたいなあ」という気持ちがあふれてるものです。それって、本当に分るんですよ!!