「管理計画認定制度(2022年4月スタート)」の認定要件の一つに「組合員名簿、居住者名簿が備えられ、1年に1回以上は内容確認されている」という項目がある。
まず組合員名簿と居住者名簿と2つの名簿があるということ。組合員名簿とは区分所有者つまり各専有部のオーナーの名簿だ。これがないと総会の開催もできない。だれがオーナーであるのか。オーナーはどこに住んでいるのか。投資型分譲マンションだと、多くが賃貸にだされ、オーナーは、ほとんどが館内に居住していない。総会資料の郵送は大変な業務である。
さて居住者名簿であるが、これは、各専有部にだれが居住しているのかを記録した名簿のことである。マンション管理組合の活動としては、まず組合員名簿がないと組合運営に支障をきたすため、同名簿が整備されていないマンションは少ないだろう。しかし、居住者名簿となると、その整備はおぼつかないことが多い。とくに賃借人が多いマンションでは、だれが居住しているのか。また、いつの間にか居住者が変わっているなんてことは日常茶飯事だ。
管理会社に委託業務を委託している場合は、管理会社が居住者名簿を把握していることも多い。賃貸契約の場合、多くは、仲介不動産は管理会社とも連絡をとることが多く、住民名簿を管理会社に提出することが多いからだ。この場合、その居住者名簿は管理会社の管理所有となり、そう簡単に個人情報を出すことができない。
今回の管理計画認定制度では、この居住者名簿は管理組合も把握して保管しておかなくてはならない、としているのである。これには、防災上の問題もあるようだ。
この要件を満たすために、これまで管理会社まかせであった居住者の把握を管理組合が能動的に把握しなければならなくなった。年に1回は、全部屋に対して、居住者名簿の提出を依頼しなければならなくなった。もちろん、これに法的拘束力はない。実践したほうがよい行いの一つとなったということだ。
名簿を提出する居住者は、だれに個人情報を預けるかという問題も生じる。ある管理会社は、年に1回必ず行われる通常総会の資料配布の際に、同時にこの居住者名簿を配布して提出を促している。今後は、その際に、提出先宛先に管理会社名と並列して管理組合名を入れておけばよいと思う。その場合、居住者が提出した個人情報は管理会社と管理組合にて共有できるということだ。注意しなければならないことは、管理組合も管理会社も個人情報の保護団体であるということだ。居住者名簿のデータを提出してもらう際には、同名簿の使用目的(管理組合運営のみに利用)を明記しておかなくてはならない。
管理会社まかせにしていると、いざ管理会社を変更しようという時に、管理会社が組合員名簿や居住者名簿を管理組合に提出しないケースもあった。これでは総会が開催できず、管理会社変更案も上程できなかったというケースを見たことがある。国交省は、このような事実を、多分把握している。
今回の組合員名簿、居住者名簿の管理組合での把握保管の推奨は、管理組合の本来の業務を再認識させ、すべて管理会社まかせにしないようにという警告の一つであると、私は捉えている。
東京リーガルマインド 2級建築施工管理技士[自由テキスト]