先日は当ブログで地震保険について簡単な説明をしました。このブログを読んで下さったお客様から、損害区分と保険金支払いの割合を教えてほしいとのご連絡があり、再度、以下に記しておきます。
全損 地震保険金額の100%(時価が限度)
大半損 地震保険金額の60%(時価の60%が限度)
小半損 地震保険金額の30%(時価の30%が限度)
一部損 地震保険金額の5%(時価の5%が限度)
以上になります。上記中の「小半損」というのは以前はなかった区分で、結構新しい区分です。
私は経験上、上記の一部損のみ、申請のお手伝いをしたことがあります。その時には、まだ小半損という区分がありませでしたので。時価の30%というのは、かなりの被害だと思います。
さて今回は、地震保険ではなく、一般的なマンションの損害保険について。意外に知られていない保険付保時の留意点を。
マンションの損害保険というのは、火災保険に加入したうえで付保されるのですが、最近はいろんな商品があります。管理会社や保険代理店によく説明を聞く必要があります。どのような場合に保険対象となるのか。火災は当然として、マンションの損害保険とは以下のようなものです。
・落雷、爆発
・風災、ひょう、雪害
・漏水(水濡れ)
・盗難
・水災
・破損・汚損等
上記から、私の経験したのは、風災、雪害、漏水、盗難、水災、破損・汚損です。まあ、ほとんどです。落雷や爆発は運よくありません。あ、でも電気系統が破損してしまったマンションがあり、その原因はたしか、落雷だったかな、、、。そうすれば、経験ないのは、爆発のみかも知れません。それほど、マンションでは、いろんな事件が起こるということでしょうね。やはり損害保険は絶対に必要です。
私がお世話になったマンションは、多くが東京都、神奈川県なので、雪国地方の雪害の規定などは、よく知りませんが、以前、東北地方のあるマンションにお世話になったことがあり(管理会社勤務時代です)、そこは雪がすごくて、2年ごと雪害申請していました。
話を戻します。上記のような各種別(?)があり、それぞれオプションのように保険に入ります。水災というのは、水害です。ハザードマップ等を見て、河川の近くなどのマンションは入っておいたほうがよいでしょうね。杉並区や葛飾区などのマンションは、保険代理店からすすめられると思います。またハザードマップにかかっていなくても地形上・構造上水害の可能性のあるマンションはあります。半地下になっているようなマンションでは、ゲリラ豪雨などで、水が一気にマンション地下に浸水したりします。例の武蔵小杉のタワーマンションでの事件は記憶に新しいでしょう。この水害は、ハザードマップにかかっていないマンションでは、意外に加入していないような気がします。
マンションに火災保険・損害保険・地震保険を付保する場合、保険の対象となる共用部分とは、どこを指すのでしょうか。それが大きな問題となります。事件が起こって、保険を申請したら、その部分は共用部分として保険がかかっていませんでした。なんてことにならないようにしなければなりません。
マンションの専有部と共用部は、マンション管理を行う上で、最もよく耳にする用語です。これは共用部だから管理組合の問題だ。それは専有部だから管理組合のかかわる部分ではない、等の説明がよくなされますよね。その時に、専有部と共用部の範囲が明確に定義されて頭の中で明確になっている人って、あまりいないような気がします。
いろいろ話をする中で、微妙に話がかみ合わない時があります。それは、その話題をしている関係者が、それぞれの立ち位置の違いで、専有部と共用部の範囲について、その認識が違うからです。
専有部と共用部の範囲を明確にしないと保険に加入できません。新たに保険に加入するときは、保険会社は、必ずそのマンションの専有部と共用部の境目を認識して保険に加入させています。
専有部と共用部の境目は、じつは正しい回答は一つではありません。それって、どういうこと?と思いますよね。管理業務主任者のようなマンションン管理のプロでさえ、たまに間違って話しています。その人が、どの法律やルールを根拠にして専有部と共用部の境目を頭に描いているかは、それぞれ違うからです。
建築基準法、区分所有法などの法律。マンションの管理規約によって、その境目は違います。大事なことは、今、説明している人が、どのルールに基づいて、専有部と共用部を線引きしているかなのです。
保険の話に戻ると、こういうことです。専有部と共用部の区分の仕方については、「上塗り基準」と「壁芯基準」の2つがあるということなのです。
「上塗り基準」とは、上下階の床スラブ(コンクリート)、隣宅との界壁(壁・躯体)は共用部分に含まれるという考え方です。一方の「壁芯基準」とはその逆で、上下階の床スラブ、隣宅との界壁それぞれの中心線を境にして専有部とする考え方です。よくマンションの売り出しで、●●㎡のお部屋と銘打って、実際に現地を見に行くと思ったより部屋が狭いなんてことがあります。これは壁芯で部屋の広さを明記しているからです。広告をよく見ると、ちゃんと(すごく小さい字で)壁芯って書いてあります。
つまり、マンションの保険は、「上塗り基準」で付保(加入)するべきなのです。「上塗り基準」で付保されないと、被害のあった共用部(区分所有法は上塗り)が、付保対象になっていないということになり、保険がおりません。
この「上塗り基準」と「壁芯基準」は管理規約に明記しておくことが望ましいと思います。一般的にマンション標準管理規約は「上塗り基準」で設定されていると言われます。でも明文化されているマンションはほとんどないと思います。各部屋の広さの一覧表(管理費等の算出基準)を全体の面積から引けば、共用部の面積がでます。そのため管理規約が上塗り基準であることは分かるのですが、やはり規約に明記しておけば一目瞭然です。これはマンション標準管理規約には明記されていないのですが、「保険付保は上塗り基準とする」という一文を管理規約に明記することをおすすめします。