管理規約第21条コメントについて

(共用部配管と専有部配管の一体管理について)

9月23日ブログで管理規約改正について触れた。今年(2021年)の6月に国交省が新たなひな形を発表した。今回の改正は、コロナ禍におけるマンション管理組合の運営を考慮すると同時に、2つの法律(マンション管理適正化法、建て替え円滑化法)の変更を受けてのものだ。
 今回のブログでは、その中でも第21条関係コメントについて少し深く考えて見たい。これについての改正は、条文そのものの改正ではなく、第21条の読み解き方(コメント)についての記載が、一部追加されたということ。
 第21条とは(敷地及び共用部分等の管理)について書かれた条文で、専有部と共用部の境目及びその管理権限について述べている条文だ。
 マンションの中においては、共用部と専有部の境目があいまいな箇所があるが、必ずその境目がある。これは明確である。つまり共用部と専有部は黒白がはっきりしているということ。境界がはっきりしていないと、管理ができない。「このあたりから、だんだんと専有部となって、、、💦。」なんてことを言っていると、グレーな部分が生じ、そこを誰が責任をもって管理をするのか、という問題が生じる。
 よく問題となるのがベランダや玄関ポーチ、窓枠(サッシ回り含め)、郵便受け、玄関ドア、火災警報器等だ。また居住者がよく理解できないのが床下の配管だ。これもそれぞれのマンションの管理規約によるが、いくつかのパターンがある。

 さて、今回の管理規約改正(第21条はコメント追加)では、この第21条のコメントの⑦という部分に長文が追加された。これを主要な部分を書き出すと「共用部分の配管の取替えと専有部分の配管の取替えを同時に行うことにより、専有部分の配管の取替えを単独で行うよりも費用が軽減される場合は、これらについて一体的に工事を大なうことも考えられる。その場合には、あらかじめ長期修繕計画において専有部分の配管の取替えについて記載し、その工事費用を修繕積立金から拠出することについて規約に規定するととも、先行して工事を行った区分所有者への補償の有無についても十分留意することが必要である」となっている。
 上記の太字部分を簡単に言うと、規約と長期修繕計画書を再作成すれば、専有部の床下配管も管理組合の修繕行為として組合費用として拠出できるということです。

 この条文は、マンションの経年劣化がすすみ、同時に居住者の高年齢化を踏まえての条文だと思われる。いわゆる2つの老い(建物と人の劣化・老化)という社会問題が前提だ。

 築40年を経過してくると配管の取替もマンションの懸案事項としてあがってくるだろう。その場合、共用部だけを取替えても、専有部の床下配管がそのままだと、いずれの漏水の危険性や赤水が出るリスクは高いままとなる。しかし、居住者も高齢化し、年金暮らし等が多くなってくると、いきなりの費用負担は困難だ。
 つまり、早い段階で専有部の配管も共用部として管理していかなければ、マンションの設備自体が劣化して建物が延命できないという問題に対処するための条文コメントだ。

 国交省のひな形が変更となっても、それをそのまま受け入れて、そのマンションの管理規約とするかは、それぞれの管理組合の判断による。しかし、この条文コメントは、意味深長であると思うし、もしこのコメントに沿った管理規約と長期修繕計画書の変更を行うのは、大変な労力であろうと思われる。

 国もマンションの劣化に対しては、いろいろな施策を打ち出してきているが、実際にマンションを建て替えるのは不可能ともいえるのが実情だ。そのためにはマンションの延命しかない。

 いかに管理組合が上記の事をいずれの大きな問題としてとらえていくか。
 21世紀前半のマンションの大きな問題であると思う。

 

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