「防犯」カメラといったり、「監視」カメラといったり。正式な名称はないのでしょうが、要するにマンションの場合、共用部を撮影した動画をなんらかの媒体に記録しておき、後日、閲覧できる仕組みのことです。
設置目的は、防犯上のことを理由にすることが多く、一般的に防犯カメラと呼ばれています。
少し推察してみても、同カメラに関する判例がきっとあるだろうと思い、調べてみたら、ちゃんとありました。カメラがプライバシーを侵害しているため撤去と損害賠償を認めた例です。この場合、案件は、「カメラ」と呼ばれています。同判例については、次回ブログで簡単に触れます。
最近は、どのマンションにも防犯カメラが設置されるようになりました。もちろん、設置はマンションの自由判断です。最近の新築マンションは分かりませんが、分譲当初から設置されていることもあるでしょうね。
一般的には、防犯カメラの新たな設置は、総会決議が必要です(マンション標準管理規約第48条)。これは「管理組合の業務の重要事項」とみなされ普通決議(有効議決権の過半数で承認)です。多くのマンションでは、防犯カメラの新規設置工事を上程した際に、「防犯カメラ運用細則(仮称)」を決めることが多いようです。同細則も普通決議です。
調べたことはないですが、マンションに防犯カメラを設置し始めたのが、20年ほど前からではないでしょうか。ここ数年で、カメラや媒体の性能があがり、新しいカメラに交換したりするマンションもあるでしょう。
防犯カメラがマンションに設置されだしたころは、リースにしたり、機器を買い取ったり(工事費用込みで)しましたが、最近ではリースやレンタルが多いのではないかと感じます。カメラの性能があがったり、機器が故障したりと、リースのほうが対応しやすいというのが理由です。
リースは一般的に5年~6年。7年以上は年リース(これまでのリース料の1/10のリース料金となるのが一般的。
わたしがマンション管理業を始めて、最初に防犯カメラを設置したマンションでの、総会時での議論は今でも覚えています。思ったより反対が多かったのです。
わたしは、それほど深い考えはなく、世情から「そういう時代かな」くらいに思っていましたが、だれかを監視するというその行為に、結構反発もあったものです。
その後、そのマンションでは、この20年間のうちに、泥棒2件、車の飛び込み(人身事故にいたらず)、落書き、違法駐車、近隣でのひったくり、大量の違法ゴミと、いろんな場面でこの防犯カメラが活躍しました。
つい最近も同マンションでは、防犯カメラの一部追加とハードディスクの更新を行ったようですが、もう反対の人はいないでしょう。
防犯カメラの設置はマンションの規模によるでしょうが、意外に工事費用がかかります。機器は、かなり格安で良質なものが市場に出ていますが、それと同額以上に工事費がかかります。カメラやハードディスクなどで50万円なら、工事費用も同額程度と見てよいでしょう。
モニターやハードディスクをどこに設置するかで、配線工事の内容もかわり工事費用も変わってきます。管理員室のあるマンションでは、同室に設置することが多いでしょうが、配線ルートがとれなかったりします。床や壁、天井からモール(配線カバー)や管(CF管やPF管)を通す工事も必要かも知れません。
そのため、最近では、記録媒体もクラウドにのせる方法もあり、関係者は防犯カメラの映像をスマートフォンなどで閲覧することもできます。
防犯カメラという機器ひとつをとっても、便利な時代になったなあと思います。事件が起こっても、現地に行って防犯カメラを閲覧するまでに時間がかかっていましたが、最近は、どこでも閲覧できる時代です。それだけに映像の漏洩や管理にも、細心の注意が必要となってきているようです。