委託契約の更新について(3カ月前の更新申し入れを知っていますか)

 マンション管理会社は一般的には1年ごとに管理組合との管理委託契約を更新する。更新する内容は、同様の管理内容として更新することが多い。これは同一更新と言って、総会の前に重要事項説明を理事長のみに行えばよい。また管理内容が変更になる場合(委託料の変更、管理員の勤務日数等)は、全戸に対して重要事項説明会を実施しなければならない。これを同一でない更新という。
 上記のことは、管理組合員の方々もよく知っている。毎年のことなので、慣れているのだろうか。
 しかし、意外に知られていないことは、同一更新であれ、内容が変更となる更新であれ、来期もまた委託契約を締結したい旨の意思表示は、管理委託契約が完了する3カ月前に書面にて申し入れなくてはならないことだ。
 かなり以前は、マンション管理会社との委託契約は自動更新もできた時代があった。双方、どちらから契約の終了を申し入れない限り、契約は自然と更新できたのである。
 現在は、契約期間が満了する前に(3カ月前)、更新の申し入れを行い、総会の上程議案として、承認を経なければならない。
 この3カ月前の更新申し入れは、重要事項説明のNo11に書かれているのが普通であり、委託契約書では(たぶん)第21条くらいに書かれている。
 実は、重要事項説明書と管理委託契約書は、多くの場合、管理会社はある一定のひな形を使用しているからである。

 さて、この3カ月前の更新申し入れについてであるが、たまに忘れてしまう管理会社がある。管理業務主任者であれば、このルールは誰でも知っている。しかし、忙しさに、ついつい忘れてしまうのである。総会の時期が近づいてくると、その準備に入るので、更新の上程議案を忘れる業務主任者はいない。しかし、3カ月前の更新申し入れはついつい忘却する。
 多くの管理会社では、この業務は、管理部や総務部といった事務方の仕事である。管理物件の一覧表から、つねにあらゆるデータ管理をしており、今月の3か月前の更新申し入れマンションをパソコンからピックアップする。その書面を打ち出し押印後、理事会などに出かけるフロント担当者に手渡すのである。

 一般社団法人マンション管理業協会は「(マンション管理会社)社内の体制を個人に頼らない組織チェックシステムを整備する必要がある。」と指針を出している。社内の体制を個人に頼らない組織、とは何か。つまり管理委託契約を締結しているマンション管理組合との関係を、フロント一人に仕事を丸投げしてしまい、責任を押し付けるようなことがあってはならない、ということなのだ。

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