躯体維持・長期修繕計画関係の標準管理規約一部改訂について

マンション標準管理規約第21条の表題は(敷地及び共用部分の管理)。主要な内容は敷地と共用部は管理組合が管理すべきであるが、バルコニーなど専用使用権が発生している場所は、使用権者を有する者が、その責任と負担において行うべきであると、明記されている。

 実際にマンション管理の現場では、専有部と共用部の境目が分かりにくいケースがある。火災警報機やインターホンは、配線は共用部とつながっているし、つながっていると言えば給水管や排水管も専有部と共用部を貫通している。
 管理規約第21条2項では「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」とある。
 多くの場合、専有部分の火災警報器を管理組合が管理費または修繕費から支出する場合は、上記の同条文を根拠にしていると思われる。
 共用部の給水管を交換または更新工事を行う場合に、費用的に専有部分も同時に行ったほうが安くなることが明らかになった場合、管理組合にて実施することがある。また同時に行うことを検討しているマンションも多いだろう。一般的には、床下・スラブ上の配管は専有部分である。そのため専有部分の床下配管を交換する場合は、各区分所有者が実費を負担すべきであるが、ケースによっては、上記条文を根拠に、管理組合の支出とすることもある。

 そこで今回のテーマであるが、令和3年6月の管理規約の一部改正では、条文以外のコメント部分も多く改訂・追加となった。

 今回の改正で管理規約第21条コメント⑦に以下のコメントが新規追加となった。
「(前段省略)共用部分の配管の取替えと専有部分の配管の取替えを同時に行うことにより、専有部分の配管の取替えを単独で行うよりも費用が軽減される場合には、これらについて一体的に工事を行うことも考えられる。その場合には、あらかじめ長期修繕計画において専有部分の配管の取替えについて記載し、その工事費用を修繕積立金から拠出することについて規約に規定するとともに、先行して工事を行った区分所有者への補償の有無等についても十分留意することが必要である。」

 上記コメントに従うとすれば、マンションの長期修繕計画案を再作成しなければならない。新たな長期修繕計画ガイドラインによれば、修繕計画案は「30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上」とされた(規約32条関係コメント②)。

 令和4年4月から管理計画認定制度が始まる。同制度にはいくつかの基準があるが、長期修繕計画案は上記のガイドラインにそっている。また専有部分の配管交換も共用部分の交換と一体化して実施するならば、管理規約に規定したほうがよいということになる。

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