最近、マンション管理業界は、少しバタバタしている。マンション管理業界だけではなく、マンション学会での中心テーマ、そして不動産鑑定士協会などがシンポジウムなどを開催している。すべてのテーマは同じで、昨年の法律改正に伴うもの。つまりマンション管理適正化法、建替え円滑化法という2つの法律の一部改正に端を発している。
この2つの法律の改正により、国交省の修繕積立金ガイドライン、長期修繕計画書作成ガイドラインという2つのガイドラインの内容が一部変更となった。またマンション標準管理規約については今年の6月に改正となり発表となった。
つまり法律、ガイドライン、管理規約というマンション管理に係わるルールや指針が変更となったのである。このことにより、新しいビジネスチャンスをうかがう人たちもいる。
自分たちの生活をとりまく各種ルールが変更となっているのだが、実際にこれらの詳細をマンションの理事会や総会などで検討している管理組合はまだ少ないのではないかと思う。とくに上記のルール変更による来年度(2022年4月)からの管理計画認定制度や評価制度の開始も、これらルール変更によるものだが、同制度でさえ認識している管理組合は皆無とはいわないまでも、非常に少ないと思う。
国交省やマンション管理業協会も、もちろんそれなりに上記のルール変更については賢伝しているのだが、実際には専門家たちが対応を検討している段階で、現場の管理には降りてきていないのが現状だ。
私がお世話になっているマンションでも、いくつかの管理会社が委託契約を受けているが、同ルールの改正や管理計画認定制度について理事会等で説明をしている会社は見当たらない。私が「御社では、ルール改正や同認定制度について管理組合に説明しないの?」と聞いても、「まだ個人的にも詳細を把握しておらず、まして会社からも指示はない」と言っている。
今回のルール変更や管理計画認定制度について、一言で表すと、「自分たちのマンションの将来像を描く」ということなのだ。
将来的なマンションの姿を思い描き計画をたてる。そのために適正な管理を行うための認定制度なのである。
もう少し、かいつまんで言うと、将来、マンションは3つの道をたどる。①ほぼ永続的に延命措置を講じる。②建て替える。③敷地売却を行う。という以上3つの方法だ。
上記の①~③のどの道をたどるにしても、最低限の適正な管理を継続しておくことが条件だという。それが管理計画認定制度なのだ。(これは、お国の言葉を代弁したような言い方だが。)
現状、今回の法改正やガイドライン変更、管理規約変更については、まだまだ現場での検討レベルに下りてきていないのが現状だ。つまり専門家(管理士や管理業務主任者)たちでさえ、「だからといって、自分たちはどう動けばいいの?」というのが実情なのだ。