コロナ禍ー住宅設備機器不足ー現場の声

 当事務所の主な仕事は管理組合運営のサポート。コンサル契約や第三者管理という立場から理事会とともに管理組合運営を支援する。まずは共用部の管理(維持・管理)が主な仕事だが、共用部の管理は必ず専有部と係わりが出てくる。

 漏水は共用部が原因でも専有部に影響を与える。共用部とともに専有部も修復する相談にのらなければならない。場合によっては、当事務所で補修工事を行う。

 お世話になっているAマンション(神奈川県)では、給湯器を管理組合にて一括管理している。全給湯器に10年保証をかけ、管理組合にて交換している。このようなマンションは珍しいが、たまに存在する(その分、修繕積立金は少し割高か)。
 さて、このAマンションのある専有部の内装の際に、給湯器を交換する必要がでてきた。引っ越しは1週間後にせまった状態で、私に相談があった。ようするにコロナ禍で、どのメーカーも給湯器が不足しており、引っ越しまでに交換できない。なんとかならないだろうか、という相談だ。

 内装業者と管理会社ではお手上げ状態だという。無いものはどうしようもないですよね。

 給湯器の交換については、管理会社在籍時代より、本当に悩まされてきた。突然壊れて交換希望となる。なぜか年末が多い。普段より使用頻度が急に高まるかどうか、12月31日に給湯器が壊れた、という連絡は10件くらい経験したと思う。年末は工務店、ガス屋、メーカーすべて休みに入っている。仮に平日でも、今日の明日というのは難しい。

 そこで、つねに在庫を抱えている業者を数社抱えておくべきだ。私は、つねに在庫のある業者にお願いするので、今回のAマンションもなんとかのりこえた。しかし、同社によれば、「さすがに当社も在庫がきびしくなってきた」とのこと。今回の交換はエコジョーズではなかったので、なんとかなった、とのこと。同社は、業界ではそこそこの有名な会社だが、そこでさえ、エコジョーズはない、とのことだった。メーカーの多くが部品をベトナムなど東南アジアで生産しており、コロナ禍で生産状況に支障が出ているとのことだ。

 上記のように、常に在庫を抱えておかなければならないものとしては、給湯器以外には、散水栓、トイレ便器、ウオシュレット、給水管・給湯管(マンションの特性にあわせて)、継手部品などだ。管理会社もこのような部品は在庫として抱えていない。そのため、対応できる専門業者との普段からの付き合いが大事なのだが、専門業者もつねに在庫をかかえているわけではない。そのため卸売り業者や地元の水道業者などが役に立つ。つねに懇意にしておき、24時間いつでも電話できるような体制をとっておければ最善だ。

 今回、このコロナ禍で、彼らに在庫状況を確認してみた。さすがに彼らも少しずつ在庫が減ってきており、とくにTOTOのトイレなどは(種類が多いということもあるが)、不足気味だといういう。型番にさえこだわらなければ、まだかろうじて在庫はあるようだ。

 また、今年はインターホンが品薄だった。これは、どうやら半導体の不足のようだ。九州などで有名な半導体工場が火事になったことが原因だ。

 住宅設備も、メーカー品が多いが、少ないメーカーにすべてを依存していると、このような状況が生まれることがある。住宅設備の多くは、10年ほどで部品供給(製造)が中止となって、修理ができなくなっていく。仮に部品が手に入り、修理をしても新品と交換しても同じくらいの値段となることが多い。これって、もったいない精神から言わせると、決してよいことではないのだろうな、、、と思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。必須項目には印がついています *

CAPTCHA