マンションにおいて居住者がもっともお世話になるのが管理員さんだ。管理会社と委託契約をしている管理組合においては、管理会社の社員(もしくは契約社員等)となっている場合が多い。
複数棟のマンションを掛け持ちで勤務している管理員さんもいるようだが、それは非常に少なくて、多くの場合、1棟専属が多い。私の知っている多くの管理員さんは、退職者が多かったが、どなたも本当によく仕事をこなしておられた。私が管理会社に属していた当時は、私が必ず面接をしたが、未経験者の方を多く雇用した。中には日本有数の大企業や大手銀行などを退職された方がいて、むしろ心配したが、杞憂に終わったことが多い。管理員さんというのは、いろんな職種を経験したり、多くの人生経験がものをいう仕事だと思う。
さて、ここで考えたいことは、まず管理員さんと清掃員さんの違いである。この2つの職種は、(私などは)明らかに仕事内容が違うと思うが、マンションの居住者にとっては、その違いは分かりにくい。また管理員さんと清掃員さんの仕事を共有している方もいる。本来、この2つの職種を同時にこなすことは、なかなか大変だ。
管理員室の受付とゴミ置場の清掃は同時にこなせない。
管理会社と管理組合が締結する委託契約書には、管理員業務と清掃業務は、きれいにすみわけされている。多くの管理会社が業界の同一ひな形を使用しており、そこは仕事として線引きされている。だから管理員さんと清掃員さんの両職種を雇用しているマンションも多い。大型マンションとなると、たぶん、両職種が存在していることが多い。しかし、管理員さんがまったく清掃を行わないというマンションもほぼない。朝いちばんにエントランス付近を清掃しているのは、多くの場合管理員さんだ。これを清掃員さんの仕事だとして、いくら汚れていても、清掃員さんが手をつけるまで放置しておく管理員さんもいないだろう。
管理会社サイドも、実際の現場では、管理員さんと清掃員さんを混同していることが多い。もし管理員さんが清掃を行うなら、はっきりと雇用契約書に仕事内容を明記すべきだ。当然、管理組合に提示する重要事項説明書や委託契約書にも仕事内容として書かれているべきだ。
ハッキリ言うと、管理会社は、多くのことを現場に頼ってしまっていることが多い。管理員さんと清掃員さんを一緒の職種としてみている。それは、そういう仕事でも構わないと思うが、それはキッチリと雇用契約書に明記すべきだ。つまり、実際には、多くの仕事が現場の管理員さん、または清掃員さんの善意に頼っていることが多い。
人の善意に頼る仕事は長続きしないと思う。管理会社の委託業務のどれほどを管理員さんに頼るのか。管理会社本社のフロントと管理員さんの情報共有がどれほどなされているかなども大切な問題だ。