管理規約改正後に行うことって、何でしょう。

 管理規約を改正するには総会の決議が必要です(特別決議)。マンション標準管理規約第47条3項1によると「(規約の制定、変更又は廃止は)組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。」と書かれています。
 私のブログを読まれている方たちは、マンション管理に詳しい方が多く、上記のことなど、「そんなの知ってるよ」という声が聞こえそう💦。

 上記のように特別決議(第47条)って結構大変です。上程する以上、可決されることを目指しているので、分かりやすい説明やプレゼンなどを駆使して、どの管理組合も努力されていると思います。さて総会で、管理規約の変更が承認されたとします。その後、どうなるか。多くのマンションでは、総会結果を何らかの形で広報することが多いでしょう。結果だけを掲示板に貼ったり、議事録をコピー配布したりと。議事録は議案の可決数くらいしか書かれていないことが多いですが、議案要領は、総会前に説明されているでしょうから(規約上の義務)、「なんとか規約改正が承認されたんだなあ」というくらいは全組合員は認識しているでしょうね。それも外部居住のオーナーさんたちは、やはり総会結果はなんらかの形で広報したほうがよいでしょうね。

 私の経験でいくと、多くの管理会社も、そこでホッとしてしまい、そのあとのアクションが抜け落ちていることが多い。

 こんなケースがありました。総会にて管理規約改正が承認された、1か月後くらいに、あるお部屋で売買があり、所有者が変更となりました。当然、売買前に、新所有者は不動産会社を通じて規約を手に入れています。それは売買契約前に、(一般的には)不動産屋(宅建業者)が管理会社に重要事項情報の取得を依頼して、最新の管理規約を取得します。新所有者は総会議事録も手にしていたのですが、入居後、その総会議事録を確認したら、総会にて規約が改正されている。しかし、入居前にいただいた管理規約は旧(改正前)管理規約でした。つまり、管理会社も管理組合も新管理規約を新たな管理規約として冊子にしていなかったのです。
 総会の議案書にも、改正部分(旧条文と新条文)しか出ておらず、新しい一冊としては編集されていませんでした(実は、管理組合にはあったのですが💦、管理会社がデータとして保管していなかった。たぶん、管理会社のフロント業務と管理業務の部署の方たちの連携不足です)。

 そこで、マンション標準管理規約の第72条3項をみてみましょう。そこには以下のように明記されています。「規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名押印した上で、この書面を保管する。」とあります。

 上記を簡単に口語訳すると、総会で規約を改正したら、新しい規約集を作成して、一冊を原本として、それに理事長が「現規約が総会議事録の内容と相違ないです」という文書に署名捺印(記名じゃないところが注意)したものを添えておく、ということです。

 私は、この上記のケースでは、それほど大変な問題に直面したことはありませんが、例えば、ペット飼育の禁止を管理規約に条文として追加したとします。その後にマンションを購入した組合員が、購入前に「ペット飼育可能」と書かれた、変更前の規約を手渡されていたりすると、大変なトラブルが発生することも考えられます。
 この例は、私が考えただけですが、もしこんなことが起こったら、と思うと、私なら心臓止まりそうになると思います。小心なマンション管理士より。

追伸:最新のマンション標準管理規約が国交省から発表されているので注意してください

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。必須項目には印がついています *

CAPTCHA