「個人情報が流出」某管理会社ーマンション管理新聞より

 マンション管理の現場にいると「個人情報」の扱いは本当に気を使います。
 マンション管理新聞7月25日号に「関係資料を知人業者に提供 元管理員」という記事が出ていた。記事を読んでみたが、元管理員というのは、同事件の後に退職して元となったのかどうかは不明。
 某管理会社の発表によれば、元管理員が過去に実施した大規模修繕工事の関係資料を知人の事業者に提供し、その資料の中に居住者のアンケート結果が含まれていたというもの。アンケートなので、そこには氏名・部屋番号・連絡先が入っていたというもの。この記事から判断すると、渡したのは修繕工事後の引き渡し書類一式ですね。
 大規模修繕工事が完了したら、施工業者は、当初の見積書や仕様書、工事期間中写真や発注書、請負契約書、出荷証明、工事期間中掲示物、アンケート結果一覧などを一つのファイルとして管理組合に引き渡すと同時に完了報告を行うのが一般的。つまり、ファイル一式が外部に出てしまったのだろうね。推測ですが。個人情報だけが欲しいなら、アンケート一覧だけを抜き出せばよいことなので、きっと工事資料を何かの参考にしようとして渡したのだろうと推測できる(これも一方的な私の推測)。

 事件発覚後、当該管理会社は国交省や管理組合に報告して、住民説明会を開催し謝罪したとのこと。

 なぜこの元管理員が資料を渡したのか、管理組合の承諾のもとだったかどうかなどは不明なようだ。本当のところは分かっているのだろうが、「管理組合様との関係があるのでお答えできない」とする管理会社の立場は、それはそうだろうな、と思う。

 行った行為は不注意だったが、この行為は仕事上で知り得た秘密は仕事を退職しても秘匿しなければならないという、どの仕事でも当たり前のことに反する。その点は同管理会社も「個人情報の取扱いについて社内教育と管理体制の強化に努める」としているが、どうもこの事件は、個人情報を漏洩したかったわけではなく、修繕工事の資料の提供が目的だったのだろうな、と思う。そういうケースはたまにあるからだ。

 ある工事を新たに行う場合など、過去のデータを見ることが必要になるケースは常に発生する。その場合、個人情報が入っていないかどうかは、十分に気を付ける必要がある。

 私がこの業界(マンション管理業界)に入った当時は、管理組合でも5,000人以下のマンションであれば、その管理管理組合は個人情報保護団体とはみなされなかった(管理会社は別)。今は、人数に関係なく管理組合は個人情報の保護団体だ。つまり個人情報保護法が適用されるわけだ。

 とくに紙ベースで住民名簿などを保管している管理組合は注意を要する。でも、このデータがないと、管理を行いにくいことも事実だ。緊急事態に対処する場合などは、名簿一覧がないと困ることもあるから。

 
 
 

司法試験・予備試験

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。必須項目には印がついています *

CAPTCHA