逗子斜面崩落事故の第1回口頭弁論について

 2020年2月に、神奈川県逗子市のマンション敷地の斜面が崩落して、通行中の高校生が死亡した事故。ご遺族がマンションの全区分所有者、管理組合、管理会社(某大手管理会社)に対して損害賠償を求めた訴訟の第1回苦闘弁論(横浜地裁)が2021年5月21日に行われたようです。
 この訴訟については、管理組合、管理会社、分譲業者、販売会社らが、それぞれの答弁を行うことが予想されます。
 ここでは、管理組合に絞ってみたいと思います。
 管理組合側は、4月19日の答弁書で、敷地が造成された部分は土地上部の平面部分であり、崩落した斜面は造成地ではない(つまりもともと残っていた土地)。つまり土地の工作物ではないと主張。管理組合は、土地工作物ではないので、自分たちに占有者責任はないという考えで、原告側の主張に反論したようです。
 また原告側(ご遺族側)が追及する不法行為責任(土地は共用物であり管理責任があるので、何もしないことは違法である)に対しては「敷地の管理は管理会社に委託しているので、斜面地の風化が始まっていた事実は知らなかった」と主張しています。

 マンション管理業界にいる身としては、この訴訟の今後を追っていきたいと思っていますが、よくわからないことは、管理組合が上記のように主張するのは、もちろん法律の専門家にまかせているとは言いつつ、どれほど管理組合の中で話し合うのだろうか、ということです。
 今回の訴訟は、原告が管理組合と同時に全区分所有者に対して損害賠償を求めています。つまり管理組合の主張と全区分所有者の意見がバラバラになることってあるのかなという疑問です。
 管理組合は区分所有者の団体ですが、一人一人にはいろんな意見があると思う。自分たちの管理に責任があると、考えている人もいるかも知れない。でも管理組合の主張は一つですよね。管理組合の中で意見が割れたときは、総会を開催するのかどうか。そのような議案が法律や規約上、上程できるのかどうかさえ、私には判断がつかないです。

 私自身がこのマンションのコンサルであったり、組合員であれば、最低限の責任を感じると思うし、きっとこの逗子のマンションの人たちもそうだと思います。一体、マンション内でどのような話し合いが、どのような方法で行われているのか。自分ならば、どのように対応するかを考えた時に、とても悩んでしまいます。

 この事故は、一人の高校生が亡くなっています。絶対に同じような事故を起こしてはならないし、そのためには、責任の所在を明確にすることは大事だと思います。

 私は仕事柄、同マンションの管理会社がどこかを知っており、そこの社員とも付き合いがあります。でも彼らとは、その話はしたことがないです。

LEC東京リーガルマインド

 
 

 

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