マンション(分譲の場合)に住む場合、管理費や修繕積立金等(駐車用使用料やルーフバルコニー使用料・・・)が必要です。それらをひっくるめて「管理費等」と呼んでいます。
どのマンションでも、毎月、支払いが義務付けられています(管理規約による)。その会計報告は一般的には管理会社が行っており、前月(もしくは前々月)の収支報告を理事会に行います。
それらを一般的に管理事務報告といい、それらの行為はマンション管理適正化法によって、管理会社に義務付けられています。
その報告の方法は、管理会社や管理組合によって、様々ですが、必ず管理費等滞納の状況報告があると思われます。「〇〇月は、〇〇〇号室の方が●●●●●円滞納です」というような感じで。管理費等は通常、一括で引落しをすることを義務付けているマンションが多いので、残高不足等で引き落としされないと、管理費等(つまり修繕積立金等)は管理組合に入金になりません。その場合、どうなるか。これは管理会社や管理組合によって方針が違うと思いますが、翌月に2か月引落しする、という通知をだすことが多いようです。
1か月分でも引落しができないと、これは管理費の滞納となります。正確には、翌月になって、はじめて先月分が滞納と表現します。たとえば3月分を3月3日に引き落とされなくても、3月31日に、何らかの形で入金できれば、3月分は滞納となりません。4月1日になって、はじめて3月分が滞納と表現されます。
さて、管理費等の滞納について、遅延損害金をつけているマンションはどれほどあるのでしょうか。管理会社は、自分たちの判断では遅延損害金はつけないと思います。あくまで、それぞれの管理組合の姿勢・方針です。
マンション標準管理規約に基づいて管理規約を制定しているマンションでは、「組合員が納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利〇%の遅延損害金をその組合員に対して請求することができる」と書かれていると思われます。〇%の部分は14%が多いと思います。
「請求することができる」という文は請求しなくてもよいとも読め、それは管理組合の方針次第です。
今日のブログで問題にしたいことは、この遅延損害金を毎月計上するかどうかという問題です。
毎月の理事会等で、管理会社が行う管理事務報告が行われた場合、収支報告や貸借対照表を確認してください。事務報告の中で管理費等の滞納が報告されたら、ご自分のマンションでは遅延損害金をつけているかどうかを確認しましょう。またそのルールも確認してください。例えば、3か月以上の滞納から遅延損害金をつけるとか、、、。管理費等の滞納は滞納一覧表を出している管理会社や貸借対照表で確認しましょう。貸借対照表で確認する場合は、資産項目となります。滞納は負債のように思えますが、資産項目です。つまり貸借対照表(バランスシート)の左側です。
さて問題はここからです。管理費等に遅延損害金をつける場合は、収支報告書や貸借対照表のどこを見ればいいのか。収支報告書の表現方法は、管理会社、管理組合にてそれぞれですが、必ず収入の科目となっています。また貸借対照表も資産項目(左側)です。
よく質問されるのですが、遅延損害金は管理費等が滞納となった人につけるのだから、実際には入金になっていないのではないか。ということ。それは仰る通りなのですが、収支報告書は、発生主義という簿記の考え方に基づいて記載されているため、これから(将来にわたって)入金となる予定のものも記載されます。ここが難しいところですよね。私のような簿記の知識がない門外漢にとって、この考え方がよく分かりませんでした。(もともと自分の会社の財務諸表さえ、理解できなかったので、、、💦)。
つまりマンション会計の一般的な考え方は、明らかに入金が予想される(確定)金額は収入として計上します。つまり管理費等を滞納した場合、必ず遅延損害金をつけるとルール化されている管理組合では、管理費等滞納が発生すると同時に遅延損害機が発生するというわけです。これが発生主義です。
そうすると、やや面倒な複雑な問題が生じます。ここからが、現場の面倒な声として聴いていただきたい。収入ととらえてしまえば、貸借対照表では資産ととらえてしまい、消すことができません(消費しない限り)。これ、私自身は「宝くじ現象」と呼んでいるのですが、、、つまり、宝くじは当たった時点では、まだお金を受け取っていないけど、もう受け取ったと同じ気持ちになりますよね。それと同じ。すでに入金したと同じ気持ちなんです。
長期にわたって管理費等を滞納している組合員は、月々にも複利で遅延損害金が増えていっています(消し込み方法にもよる)。しかし、滞納しているため実際には入金になっていない。その滞納者が競売になったらどうなるか。新しい所有者が、管理組合から管理費等の請求を受けることになるのが一般的(区分所有法第8条ー特別承継人)です。その場合、管理費や積立金は特別承継として管理組合に請求権がありますが、滞納した駐車場使用料や遅延損害金は、特別承継と認められないケースがほとんどです。そこが要注意です。つまり、遅延損害金を収支報告書で収入として(発生主義)とらえてしまった場合、いずれも入ってこない(入金されないーとりっぱぐれ)ケースも生じるということです。じつは、そのようなマンションがたくさんあります。それは永遠に残ります。貸借対照表というのは、そのマンション(管理組合)の資産状況をあらわしたもの。遅延損害金が20万円と記載されていると、いずれ入金されることが前提。ですが、遅延損害金をかけられた組合員が競売でその後行方不明。新しい所有者も前所有者の遅延損害金まで払わないとなった時に、この遅延損害金は永遠に入金にならないまま残る可能性があるということです。
私は遅延損害金をつける場合は、滞納者に先に払っておいてもらうべきだと思います。競売になるようなケースというのは、それまでにも何度も管理組合と滞納者で話し合いがある場合がほとんど。分割案等が組まれた場合に、払い込まれた金額を先に遅延損害金から消しこんでいくことに管理組合、滞納者ともに承諾をしておくことをおすすめします。
私は、何度も、この遅延損害金の取り立て(取り立て?)に奔走しました。遅延損害金を常に収支に計上するなら、管理組合ともに必ずいただくという、決意めいたものが必要ではないかと思います。
管理会社の人たちも、管理費等の督促業務はしません。もちろん未収金のお知らせを出したり、請求書を出したりは業務です。でも滞納6か月を過ぎたら、あとは管理会社の責任は委託契約上は無いと思います。これは管理組合が自ら動かなくてはなりません。それって、すごい労力ですよ。