ITを活用した総会・理事会開催

コロナ感染防止のための総会・理事会開催延期などが行われ、東京都は3度めの非常事態宣言。Zoom などのツールをつかった理事会開催などに慣れてきた管理組合もあります。管理組合でPCを購入したマンションもあります。また、ご自分のPCにカメラが付いていない、という方が結構いて、これも管理組合で1台2,000円くらいのPC設置カメラを数台購入したマンションもあります。
 当事務所では、Zoomと契約して、ホストとしてご協力をしています。この契約をしておかないと、会議の開催時間に制約がありますので、当事務所にてのサービス業務として行っています。
 このリモート会議というもの。慣れれば、それなりにできますね。私にとっては、遠い地域の遅い時間に始まる理事会が、今はリモートになり、少し楽になった気がします。コロナ感染の様子がおさまっても、しばらくはリモートでいいよね、というマンションも少しずつ出てきました。

 このように、リモートでの理事会をかなり開催していますが、総会をリモートで開催したことは、まだありません。もちろん、総会をリモートで行っているマンションもあると思いますが、私はまだ経験していません。やはり人数の多い総会では、リモートというツールが使えない方も多いし、議決の取り方が複雑だという諸々の理由から、開催延期か、少数での開催とし、議決はなるべく書面という形式をとっています。

 そこで、今回のブログでは、いわゆるリモート総会や理事会について。これらは、国交省やマンション管理業協会など専門家筋ではIT総会やIT理事会と言った呼び名で落ち着いていますが、このITを活用するにあたっての相談等を中心に話してみたいと思います。

 まず最初は、IT総会というものが、ルール上開催可能かどうかという問題ですが、これは可能だと思います。区分所有法(39条)にも電磁的方法によって議決権を行使することができるとされています。ただし、議決権行使の本人確認の方法(電子署名等)や、パスワードを割り当てるなどの手法を確立しておかなくてはならないと思います。それでも最低限、議長は総会を開催して本人が出席し、そこからリモートを行うということが必要だと思われます。

 2つ目の問題は、IT総会を傍聴しながら、どのようにして議決権を行使するかです。書面や電磁的方法による事前の議決権行使が一般的でしょう。IT総会とは、言葉をかえれば、WEB会議ということなので、あらかじめ会議アクセスのためのURLやID,パスワードを通知しなければならないでしょう。
 ここで一つ、知っておいていただきたいことは、書面決議と書面よる決議は意味が違うということ。よく書面決議(区分所有法第45条)といいますが、これは本当に場所を指定しないで会議を書面だけで行う方法で、まずは書面にてのみ総会を開催することを全員が承諾しなければなりません。つまり第1号議案で書面決議開催の可否を問い、全区分所有者の賛成を得たのち、通常の審議に入ります。この要件を緩和することはできないので、実質的には大規模マンションでは不可能だと考えられます。私も長い期間、このマンション管理業界にいますが、実際に書面決議を経験したことはありません。

 つぎはIT理事会の件ですが、実際には区分所有法にもマンション標準管理規約にも、理事会のIT開催の可否を判断するような条項はありません。しかし特段の定めがなくとも、新型コロナウイルス感染の防止という観点から、区分所有者の理解が得られれば、IT活用による理事会開催は可能だと思われます。

 現在のコロナ禍の時期に、どのマンションも通常総会の延期を行っているようですが、これは法律違反にならないと思います。法務省の見解も「今般の新型コロナウィルス感染症に関連し、前年の集会の開催から1年以内に区分所有法上の総会の開催をすることができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後、本年中に集会(総会)を招集し、集会において必要な報告をすれば足りる」と発表されています。

 上記のような見解をもとに、多くのマンションでは通常総会の開催を延期しているようですが、問題は、理事会役員の変更ができないことです。総会が開催できないと新規の理事の選任もできず、今の理事が継続する例がほとんどだと思われます。また予算の承認も不可能なため、次期会計期中での予算の執行は、前年度と同程度の業務の中で行うしかないと思われます。

 最後に管理会社と委託契約を締結している管理組合の場合ですが、管理会社との委託契約は1年間が多く自動更新できない条項となっているため、理事会で従前契約と同一条件での暫定契約を締結することについて決議する方法が考えられます。

2級土木施工管理技士[自由テキスト] LECオンラインショップ(E学習センター)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。必須項目には印がついています *

CAPTCHA