地震保険について

 「地震保険に加入すべきかどうか」という相談。結構多いです。お値段は結構しますから、悩みどころですよね。
 ご相談を受けるマンションさんは、相談前によく調べていらっしゃいます。地震保険は火災保険に附帯されること。契約上限が火災保険金額の50%までとされていること。全壊しても、時価の半分までが最高額だとか。
 私もお世話になっているマンションの地震保険加入のお手伝いや、支払い鑑定の立会いなどいろいろ勉強させてもらいました。ただすべてが一部損壊です。東京・神奈川を中心に活動していますので、そんなにすごい地震の被害はありませんでしたから。一部損壊は契約金額×5%(時価の5%が限度)です。それでも何百万円という金額になりましたけど。
 さて、地震保険に加入するかどうかという相談の話に戻ります。もっとも相談されることは何か。これ実は、最も多い質問で、どこの本にも書かれていない内容なんです。それは「どんな損害が地震保険の対象なの?」ということです。全壊、半損、一部損という言葉は、なんとなくわかるけど、具体的には一部損で何?ということ。
 一部が損壊したと言っても、その損壊の定義はなに?ということです。これはマンション管理の本などをいくら見ても、どこにも載っていません。もちろん保険会社の人は知っていますよ。とくに鑑定会社の人はプロですから、そこを査定しに来ます。
 この査定基準は保険会社の共通仕様になっていると思います。
 地震保険には補償内容から「建物」と「家財」に分かれていますが、マンション管理組合で加入するのは、「建物」がほとんどです。個人の専有部で加入する場合は、「家財」が多いのではないでしょうか。もちろん「建物」の被害も支給されます。
 「建物」の査定基準について説明すると、これはずばり、梁、柱、床です。多くのマンションはRC(鉄筋コンクリート)でラーメン構造です。もちろんSRC(鉄骨つくり)や壁式構造もあります。まずはラーメン構造で説明すると、ラーメンとは建物を支えている主要構造物は梁と柱、一階の床です。つまり躯体の主要構造物の被害をみます。壁式構造であれば、建物を支える壁の被害でみます。ラーメン構造か壁式構造か、は図面を見ればすぐに分かります。ある程度なれた人なら、躯体を見れば、凡そ分かります。
 この梁と柱の被害をみます。その被害の全体の割合で判断するわけです。被害というのはクラック等ですね。
 もちろん、もっと詳細な保険会社の内規があります。梁と柱と言っても建物すべてを見る必要はないのです。なぜなら、柱は建物の上下を貫通しているものなので、どの階に被害があるかを見れば、その階を中心に調査をします。
 私が、このような保険会社の内規を知ったのは、現場の鑑定の方法を見ていて始めて理解しました。のちに保険会社の人に聞くと、その査定方法は保険会社共通だということも分かりました。今では、凡そ、その内容を理解していますが、どうやらこれ、保険会社は、あまり表に出したくない内容らしいです。
 地震保険の加入を検討しているマンション管理組合の方々は、一度、保険会社(代理店でも)の方に聞いてみてください。損壊って、どこを対象にしているのか。どのような査定基準なのか?保険会社の営業マンだと、そこまで詳しくない人もいるようです。でも管理組合は契約前の説明で、必ず知りたい内容です。
 最後に付け加えておくことがあります。マンションで共用部に地震保険をかけている管理組合では、共用部で地震被害が認められたら、個人の地震保険も適用されることががほとんどです。掲示板に「当管理組合では地震保険の一部損壊が認定されました」と掲示して、個々人が加入している保険会社に連絡をすれば、申請書が送られてきます。管理組合が加入している保険会社と同じ保険会社で専有部の地震保険に加入している方のお宅には、知らないうちに申請書が送られてくるようです。
 そのあたりも考慮して、地震保険の加入を検討すべきではないでしょうか。

 私はの仕事はマンション管理士として、管理組合の運営お手伝いであるため、これ以上、保険営業マンみたいなことはトークはしませんけど、、、💦。


 

LECオンラインショップ(E学習センター)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。必須項目には印がついています *

CAPTCHA