使用目的をはっきりさせた会計処理が必要?
マンション管理組合の会計では、大きく分けると2つの銀行口座つくります。収納口座と保管口座です。でも保管口座を管理費会計の保管口座と修繕積立金会計の保管口座とまた2つに分けると、最低でも合計3つの口座が管理組合に存在することが一般的です。収納口座とは、組合員(区分所有者)から引き落とした(中には振込もあるかも)管理費等を入れる口座。保管口座とは当面の管理に使用しないお金を入れておく口座です。とくに修繕積立会計口座は、建物の長期的な修繕維持業務に要する費用を入れておく口座となります。
さて今回は、駐車場使用料の保管先をどこにすべきかという話です。これはお国(国交省)の考え方からすると、修繕積立金にいれることを推奨されています。マンション敷地内に駐車場(とくに機械式駐車場)が設置されているマンションでは、この駐車場のメンテナンスに莫大な費用がかかることが予想されます。毎月の駐車場使用料は、いずれの駐車場修繕費用として保管口座に残していくのが望ましいと考えられます。しかし、現実には、駐車場使用料を管理費会計口座に入れているマンションも結構あります。これはとくに、分譲時からそのような仕訳をしているマンションに見受けられます。管理費会計は1年間を通して日常の管理業務に消費する部分ですので、駐車場使用料を管理費会計に入れると、1年で消費してしまう可能性もあります。もし管理費会計に余裕が出れば、その分を修繕積立金会計に繰り入れるという考え方です。この仕訳は決して健全だと言えない会計状況だと思われますが、現実には駐車場使用料を管理費会計に入れておかないと、日常の管理が立ち行かないというマンションもあるようです。
このような場合、やはり駐車場使用料を修繕積立金会計に入れていくか、もっと使用目的をはっきりさせる為に、新たに駐車場特別会計(仮称)をつくり(新たな口座を新設する)、駐車場メンテナンスのみに使用する保管口座を作成するという方法をとったほうがよいでしょう。そうすると管理費会計の収入から、一挙に駐車場使用料が入ってこないということになるので、管理費会計が立ち行かなくなる(簡単にいうと赤字)ということも起こり得ます。その時は、管理費を値上げするという手段をとらざるを得ないかも知れません。
いずれにしよ、使用目的がはっきりわかるような仕訳をしていくことが大事ではないかと思います。駐車場に多額の修繕費用がかかると分かった時点で、これまでの駐車場使用料はすべて消費されていて、修繕工事ができないという状況では、実際の駐車場使用者は、「自分たちのこれまで払ってきた使用料はどこに行ったのか」という意見が当然出てくると思われます。
と、ここまで書いてきて、上記は最も一般的な教科書的なお話です。上記のように考えて判断していくマンションがほとんどなのですが、じつは必ずしもそうではない。
マンションの管理組合によっては、「管理費会計であろうが修繕積立金会計であろうが、どちらもマンションのお金である。つまり自分たちのお金を右のポケットにいれるか、左のポケットにいれるかの問題」という感覚で会計をとらえているところもあります。とくに問題になるのは、駐車場ですが、それがどの会計に入ろうがマンションの活動費用として支払われるのであれば使用目的はなんでもよい。例えば1階の居住者は普段エレバータを使用しないが、管理費等を支払い、その中からエレベータのメンテナンス費用が出ている。「私たちは使用していない部分にもお金を払っている」という感覚を持っている方もいます。
考えてもらいたいことは、エレベータであれ、駐車場であれ、故障したままにしておくことはマンションの資産価値に大きくかかわるということですね。
以前のブログにの書きましたが、駐車場というのはマンションの組合運営の中でも非常に大きな問題になっているということです。