いきなり余談から。私は長期修繕計画表を縮めて「長計」と呼ぶことが多い。最近、ある管理会社の社員の方が「長修」と呼んでいた。話題の流れからともに「長期修繕計画表」のことを指しているのは分かる。業界(建設会社の方)の人に聞いてみると「昔の人は長計っていいましたよね。うちの社内でも50代以上は長計。30代になると長修ですね。まあ会社によって違うでしょう」とのことだった。
さて、この長期修繕計画表、一般的なひな形は昔からあったが、それも時代の変遷で少しずつ変わってきた。とくに現在は国交省のほうからもひな形が提示されており、様式の1とか2とかの定型がある。その定型の中に「長期修繕計画表作成費用」という項目を入れるのが必須となってきている。長期修繕計画表は5年~7年ごとに作成し直すのが良いとされている(これは国交書や業界団体の通念ーもちろんマンションの特性によるが)。つまり5年~7年ごとに作成費用を計上すべきだという考えだ。
私もこの考えに賛成だ。
長期修繕計画表の作成については、管理組合と管理会社との間で締結する標準管理委託契約書では、一般的には有償とされている。表現は「(省略)計画の見直し業務を実施する場合は、本契約とは別個の契約とする。」となっている。つまり管理会社と委託契約を結んでいても、長期修繕計画表の作成は別途費用を頂戴します、という意味だ。それって、当然ですよね。1つのマンションの長期修繕計画表を作成するには、一人の社員は、それだけに長時間忙殺される。もちろん数日でできるものではない。多くの場合、作成前に躯体の劣化診断だって必要となるだろう。それも無償ではできない(管理会社と各種建材メーカーとのカラクリでは無償で行う方法もあるが、それはあくまで業界内の話だ)。
これまで多くの管理会社では、(とくに中小では)この長期修繕計画表を無償で作成してきた経緯がある。会社に決まった方針もなく、委託契約更新の一つの営業策として、または情報の独占化として、この長期修繕計画表は管理組合と管理会社の関係において、大きな位置を占めていた。
昨今の管理計画認定制度では、この長期修繕計画表の作成は当然の要件だが、様式の中にこの長期修繕計画表の作成費用を計上する欄がある。ここを(劣化診断調査費用も含めて)50万~100万くらいで計上することが多いと思う。しかし、「うちは無償でやりますよ」という管理会社は、ここを0円計上とすることになる。その場合は、(管理計画認定の)要件に合わないと判断されるようだ。この場合は、委託契約書に無償とうたっていればOKということらしい。しかし長期修繕計画表はむこう30年の躯体の維持計画表だ。30年間も同じ管理会社で、5年~7年ごとの長期修繕計画表を無償で作成するような計画表はいかがなものかと思う。
私は、きっちり払いましょうよ、と思う。
「長計」って作成大変なんですよ。あっ「長修」ね。どちらでもいいけど。