かなり前になるが(私が管理会社に勤務していたころ)、管理費等の滞納者と滞納額を一定の月日が経過した時点で、掲示板に掲示している管理組合があった。強烈だな、と思ったけれど、一定の効果はあったように思う。しかし、しばらくすると掲示される方々の氏名(部屋番号)も常連のようになり、滞納額は増えたり減ったりだった。
裁判とまではいかなくても、分割案なりが管理組合と合意できていれば、掲示氏名を掲載しないという措置をとったこともある。これらは、細則で決めた記憶がある。
さて、このように管理費等滞納者を公に(と言っても組合内でだが)発表することの適法性があるのかどうかが問われている。管理会社は、自ら「それを掲示しましょう」とは絶対に言わないはずだ。管理組合側が強硬な姿勢に臨んだ場合、データの供出と掲示作成に協力するかも知れない。
平成26年7月の東京地判 では「長期滞納者の部屋番号と名称を館内に掲示することが違法とまでいうことはできない」(つまり)「不法行為を構成することはない」という判断だった。もちろん裁判所の判断は、「共用部分等の管理を十全ならしめるため、(省略)自発的な支払いを事実上促すための措置」として不法行為とは言えないということだ。
上述のマンション管理組合が今でも管理費等の滞納者を掲示しているかどうかは知らないが、(噂では)掲示は中止していると聞いている。中止の理由は聞いていないが、個人情報やプライバシー情報がどうこう、という問題ではないような気がする。
あくまで掲示することが管理運営上やむなき措置であり、不法行為ではないという点において、実施の有無を判断すべきなのかも知れない。
ただ私の思い出としては、当時、何件かのクレームを私や理事会は受けたが、総会決議を経たうえでの掲示であったため、そのことによって大きくコミュニティが崩れたという感じは受けなかった(あくまで個人的感想です、、、。)
あっ、だからといって、管理費等滞納者をどんどん公表しましょう、という話ではない。上述の東京地判も、今回のケースにおいては、ということであり、状況はすべて違うだろうから、法律の専門家と相談したほうがいいでしょうね。