保険料率がここ数年高くなり、マンション総合保険の価格が高くなっている。多くのマンションでは5年前納という割引を受けて保険に加入していると思われるが、満期時期に5年前とは違い、驚くほどの価格を提示される。100戸級のマンションであれば200万円くらいの値上げは一般的といえる。
料率の値上げの原因は、漏水保証の急増だと言われている。マンション総合保険は、火災保険に加入している管理組合が、特約として加入する損害保険である。保険会社によって商品名が違ったりするが、「個人賠償保険」「施設賠償保険」「破汚損」「浸水」等々の特約保険がある。頻繁に適用申請するのが「個人賠償保険」ではないだろうか。上階専有部から下階専有部へ漏水した場合などに、下階の保証に適用する。専有部からの漏水の場合、加害宅(おもに上階)の方がご自分の保険で対応してもよいし、保険に加入していない場合は、ご自分で下階の修復費用を払っても差し支えない。むしろ、それが本来の形だ。この「個人賠償保険」というのは、特約において、管理組合が専有部に対して、被害宅への保証を付けてくれているものだ。いろいろなケースがあるだろうが、一言でいうと漏水保険という感じ。この保険特約が築年数が経過したマンションでは事故発生率が増えているということで、保険金がうなぎ登りだと推測される。
マンション総合保険は、それほど多くの保険会社が商品として売り出しているわけではなく、すでにマンション保険から撤退した会社もある。現存しているのは有名どころ大手3社。それ以外に大手3社の系列。またマンション管理士などを派遣して適正化を調査してランク分け(等級)して、加入する損害保険も近年発売されている。
このマンション総合保険、安いところに加入したいのは当たり前。管理組合は免責額や加入商品を比較したりして、なんとか価格を押させこもうとする。そのため、管理会社に数社の見積書の提出を依頼することが多い。管理会社も保険満期の前に、必ず見積書を提出するのが一般的。
さてトラブルはこの時に生じる。
多くの管理会社は保険代理店を兼ねているが、すべの保険会社の代理店となっているわけではない。最近、大手は3大保険会社はすべて乗りあっているところも多いが、それでも全てということはない。つまり、見積書の提示を依頼しても、自分の会社が代理店になっていな保険会社の見積書は提示できない。そこで、多くの管理組合が提示された中から選択することが多いのが実情だが、中には、管理組合独自で他の保険会社の見積書を取得することも増えてきているような気がする。それは自由社会だし、当然の権利だ。顧客は安くて質の良い商品を求める。
ここから先が、あまり議論されないことで、私も現場でよくもめる場面なのだが、管理会社が代理店となっていない保険会社の保険契約を管理組合が行った場合にいざ事故が発生したとする。この場合、保険申請について、管理会社はあまり協力しないと思われる。
よくあるケースは管理会社を変更した場合だ。たとえば5年前納でA社という保険会社の保険(火災と損害)に加入していた場合、新たな管理会社がA社の代理店でない場合、その管理会社は保険業務にはタッチしないことが多い。つまり申請のノウハウを教えないということだ。そのあたりは、いつも問題が発生するので、管理会社を変更する場合の要注意点だ。
このブログでは、管理会社変更については、何度も意見を述べているが、管理会社の変更は本当に難しいし、注意を要すると思う。管理会社変更を行わないほうがよい、と言っているわけではない。変更するときに、管理体制がどのように変化するかということを、前もって相当に想像しなければならない。この保険対応もその一つだ。新会社になったら保険を変更するのか、代理店変更ができるのか。もしくは、自分たちが代理店となっていない保険会社の保険申請でも十分に協力してくれるのかどうか等々。この点については、多くのコンサルも、あまり触れてきていないような気がする。
この問題、本当に現場では困るんですよ~。保険の変更は、絶対に値段だけではないと思っています。最もよいのは管理会社に管理委託している管理組合は、管理会社が代理店になっており、安くて質のいい保険商品が最高なんだけどな~。そう、うまくいかないケースもまま(汗💦)。