11月9日、国土交通省近畿地方整備局は、伊藤忠アーバンコミュニティ対してマンション管理適正化法に基づく指示処分を行ったと発表。社員(すでに離職)が会社が立て替える仮払金を着服し、請求書、領収書を偽造したという事件だ。
同ブログでは、過去にも管理会社の不祥事をいくつか報告してきた。私は、原則的にフロント担当者や管理員が現金を持つと、不祥事が生じる可能性は出てくると思う。
管理会社でなくても、社員に小口現金を持たせている会社がある。自分の財布の中に、自分のものでは無いお金が入ることは危険だ。
マンションによっては、自転車置場使用料、集会室使用料などを管理員さんが徴収しているような管理組合もある。それは管理会社の委託業務として行っているのだろうが、管理員さんに、それをまかせて集計させてしまうのは良くないことが起こる可能性がある。管理員さんに悪意がなくても計算が合わない時もある。それが、そのまま管理員さんの責任になったりする可能性もある。
私の印象だが、大手管理会社は、まず管理員さんが現金にふれることは無いように注意していると思われる。管理会社を選定する際に、共通仕様書を出すことがあるが(多くはマンション管理業協会の共通仕様書を使用)、私が入札を仕切る場合は、この共通仕様書に必ず、管理員の小口所有やフロントの現金受け渡しの可能性について問うことにしている。まず、間違いなく大手管理会社は、現場の現金受け渡しをさせないと、回答してくる。
ただ今回の着服については、管理員さんではなくフロント担当者のようだ。入社3年目の40代男性だそうだ。複雑なのは、会社の立替制度を利用していることで、それが複数の管理組合に被害がまたがっていることだ。
Aという管理組合の請求書をBという管理組合の請求書に改竄したり、代替駐車場の使用料について偽の領収書を偽造して、会社からの立替払いを着服するという手口のようだ。
同管理会社は再発防止策として、仮払いの限度額を5万円に設定し、5万円超は部長の決済が必要とした。また物品購入を会社からの直接発注にしたり、3万円以上については写真で現場確認するなどのルールを新設したという。
それでもフロント担当者が、現金払いをしなければならない、という現実はは残るようで、同社もこのような不祥事を撲滅できないと感じているが、再発防止策を徹底する(マンション管理新聞1221号11月25日)としている。