「資格内資格」「制度内制度」なんていう言葉があるのかどうか分からない。マンション管理士という国家資格の名称で事務所を開設しているのだが、この名称は有資格者のみの使用に限られているのは当たり前。こういうのを名称独占業務というのだそうだが、じつはこの資格、業務の内容に独占性はない。例えば、宅建士という資格は、この資格がないと不動産の取引時における重要事項説明ができない。だから業務独占資格という。マンション管理士って、業務独占ではない。だから私の仕事は、管理組合の顧問契約やアドバイザー。または専門業者と管理組合、管理会社との取次。管理員さん研修やはたまた管理会社のOJT(on the job training)など幅広い。要するになんでもありです。
さてタイトルの「資格内資格」という造語の説明だが、マンション管理士という資格のこと。じつは、「認定マンション管理士」「診断マンション管理士」「(管理計画認定)事前講習済マンション管理士」「ADRマンション管理士」など、あまり一般的に聞いたことのない資格がある。これらは、マンション管理士という資格の持ち主、いわゆる有資格者でなければ取得できない資格。つまり資格内の資格という意味。
たとえば「認定マンション管理士」は昨今少しずつ増えてきた第三者管理方式において理事となり、印鑑や通帳をあずがったりするマンション管理士に対して上限1億円の保険がかかるという制度。また日新火災という保険会社が実施しているマンション管理組合に対する「マンションドクター」という共用部の火災保険(実際は損害保険)の加入前に行う診断を行うことが許されるマンション管理士に与えられる資格。また今年(2022年)4月から始まった管理計画認定制度における事前審査に携わることができるマンション管理士は事前の講習を受講し効果測定をクリアしなければならない。ADRは裁判外裁判に出るマンション管理士。
私の場合、上記のいくつかは取得しているが、いまだ、その仕事をしたことがない。たまにお話はいただくのだが、日常の顧問契約やルーティン業務に追われている。
所属しているマンション管理士会の中では、こんなにいくつも資格をつくって、「資金稼ぎじゃないの」なんて仰る仲間もいる。たしかに新しい仕事を生み出すためには、そのための素地や教養は必要だけれど、都度、有償(当たり前といえば当たり前)で講習を受けて、効果測定に落ちたらまた次回受験というのも、せっかくマンション管理士という試験に合格して仕事をしているのに、という声が聞こえてくるのも、なんとなくわかる。
最近は少なくなったが、マンション管理センターが行っている「みらいネット」というシステムもある。これに参加するにも、初期の情報入力にはマンション管理士の協力が必要だった。
そんなに仕事作ってくれなくても、マンション管理士なんてコンサル業なんだから、それぞれの商品を作っていくから、大丈夫なんだけどなあ、と思う。