管理組合と地域コミュニティ

 何度か改正されているマンション標準管理規約だが、かつては「コミュニティ」条項と呼ばれる項目があった。管理組合の業務についてはマンション標準管理規約32条に1~15の項目がある。かつては(平成28年まで)、本条15号に「地域コミュニティに配慮した居住者間のコミュニティ形成」という業務があった。同条項については、私などは、知識不足と経験不足もあるが、このコミュニティという範囲がはっきりつかめなかった。管理組合内のコミュニティではあるが、地域コミュニティに配慮することも必要だとも読み取れる。実質的には、町内会や自治会、町内消防組織などを指すのだろうと漠然と考えていた。

 あるマンション(100世帯超)での経験だが、マンションの管理組合として、地域の自治会に所属したいと相談に行ったことがあるが、体よく断られたことがある。それはそうだろうと思う、いきなり100世帯もが自治会に入ってきたら、組織や執行部の体制や人員の役割分担も一気に混乱する可能性がある。自治会や町内会は、これまで伝統的につながってきた組織形態であることが多く、まったく顔も知らない方が100世帯(居住者は500人近い)も入ってきたら統制も収拾もつかない。いきなり町内会長からすべて執行機関のメンバーが変更になることさえありえる。結果的に地域のお祭りや防災訓練に参加したい方は、個別に自治会や町内会に入会することとなった。
 私はそれでよいと思っていたが、いくつかの小規模マンションでは、組合ごと地域町内会に参加している管理組合もある。そうしたところでは、町内会費を管理費等と同時に引き落としたり、町内会費だけを組合員が徴収したりしている。会費を管理組合資産として一緒にしたり、別会計としているところもあるだろう。そうなると、管理会社が町内会費を管理するかどうかという問題も起こる。

 私が管理会社で仕事をしていた時、ある物件で、管理組合が自治会費を強制的に徴収することは管理規約違反だという意見が出て、結局は、自治会費は管理組合会計とは別個として、個別に自治会役員が徴収することとなった。

 裁判の判例などを見ていると、やはり管理組合活動と地域組織(自治会や町内会)は明確に目的が違うため、管理費等という言葉の中に、自治会費や町内会費は含まれないと判断したほうがよさそうだ。

 しかし、マンション管理組合といえども、地域社会の一員であるため、まったく関係を断って存在することはありえない。

 そこで現在の32条12項に「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」という、これまでの地域コミュニティ条項(旧15項)を含んだような条項が設けられている。

 どうも、これまでの地域コミュニティ条項との違いが分からないという方も多くいるだろう。そこで、非常に口語的に分かりやすく説明すると、つぎのようになると、私は考えている。

 「マンション管理組合と地域コミュニティとの関係は、お祭りなどの行事に参加したりするための費用を管理組合費から捻出することは資産価値の維持とは言えず不可能である。しかしマンション周辺の清掃や美化活動、防災・防犯活動は、地域との最低限の協力体制も生まれてくるのが必然で、それは同時にマンションの資産価値の維持にもつながる。つまりそこに管理組合費用をあてることは適正である」

 と、まあ、こんな感じでしょうか、、、💦。

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