管理会社変更のコンサルを依頼されることがある。もちろん変更理由をヒアリングし、現状より管理内容がグレードアップすると思われた時には、方法を指南することも多い。
管理会社を紹介してほしいと言われることもあるし、管理組合自ら競争入札の会社を選んでくることもある。管理組合自ら会社を数社でも選んできた場合は、見積書の共通仕様書を作成し、評価表を作成することになる。
共通仕様書を管理組合自ら作成する場合は、マンション管理業協会のホームページに共通見積仕様が掲載されているので、それを利用することをおすすめする。この仕様書はうまくできている。私の場合は、この仕様書を70%くらい利用させてもらい、30%はそのマンション管理組合独自の形式を加えている。
じつは、この共通仕様書の委託費内訳書には3つのパターンがある。そのどれを使用してもよいのだが、一般の人にはそれぞれの違いが分かりにくい。その違いは、一般管理の表示方法だ。たぶん、これを聞いても皆さん、あまりピンとこないと思われる。
例えば、管理会社が消防設備点検を実施する。これは下請けの消防設備点検業者に丸投げする。下請けの費用が1世帯1,000円ならば、管理会社は管理組合に対して1世帯1,500円で出す。つまり500円上乗せしている。もちろんそうしないと儲からない。しかしこの500円という粗利の中には、フロントの給料や交通費、事務用品費、福利厚生費等々 いろんな諸経費が入っている。これを諸経費といったり一般管理費という。顧客は、管理会社が500円儲けたと思っているが、粗利から諸経費を差し引くと、場合によっては赤字のこともある。
大手管理会社は、業者の業務費を上乗せせず、そのままの価格を出し、一般管理費を別途項目で提案することもある。じつはこの方法のほうが会社の経営戦略としては利益が確保しやすい。しかしこの場合は、どうしても価格が高くなりがちで、競争入札に勝てない可能性が高い。そのため中小の管理会社は自分たちの一般管理費価格を確保する前に、20%ほどの上乗せを目分量で見積価格に反映し、管理組合に提示してしまう。
大手管理会社の委託費用が高いのは当たり前というか、正しい価格の提供方法だと思う。しかし、これでは入札に勝てないため、中小管理会社は一般管理費を度外視して価格を提供してしまい、結果、管理の質が落ちることになるのである。
管理会社を変更する場合は、見積価格のどこに一般管理費が含まれているか、確認してみるとよい。
私は、管理会社を擁護するつもりはないが、それほど利益を確保できていないと考えている。だから社員の給与も福利厚生の質も低いのだ。一人当たり15物件も管理して、休日出勤もざらで、不満が高まる。その状態は、決して質の高い管理は生み出さない。