民泊規定その後(2)

 そもそも民泊を禁止したいという信条はどのようなものなのか。これについては「ゴミ置場の管理の不徹底」「鍵の保管」「建物使用ルールの違反」などがあげられることが一般的。もちろんな理由なのだが、これらは、普段でもある問題だ。ゴミ排出のマナーの悪い住人はどこにでもいるし、ルールを守らない人もいる。民泊に泊まる方がゴミの排出マナーが悪いと決まっているわけではない。

 一方、民泊に賛成する方は、やはり資産価値の維持だ。もともとファミリーで住んでいても、子供が独立し、3DKも必要なくなった。賃貸に出したり、民泊に出したりすることも個人資産の活用で、決して批判されることではない。

 要するに民泊の禁止は、個人の資産活用に対する制限であるため、十分に注意しなければならない。

 私は、民泊を禁止したい信条で、もっとも説得力のある考え方は、資産価値の下落であると思っている。民泊を可能にすることで資産価値が落ちると言いたいわけではない。その逆もあるからだ。つまり民泊の実行が、他の居住者への迷惑にならず、なんら生活圏への影響もなく、建物使用のルールにそったものであるならば、それほど問題はない、という考え方だ。それでは民泊が資産価値を落とすとは、どういうことだろうか。これは暴力団の排除と同じ考え方だ。いくら管理規約で暴力団の入居を禁止していても、万が一、入居してしまったらどうなるか。自分の部屋を売却したいが、隣室が暴力団である、と重要事項説明を受けた購入予定者は、まず購入を躊躇するだろう。つまり売れないのだ。これは資産価値の下落だ。
 それでは民泊はどうか。自分の部屋の隣室で民泊が行われている場合、それが資産価値の下落につながるかどうかを考えて見てほしい。問題は民泊の管理方法だ。オーナーがしっかりしており、隣室になんの問題もなく資産活用していることが証明されれば、資産価値は落ちない。それでも民泊の隣室は購入したくない、という買主が増えれば資産価値の下落だ。
 要するに問題は、オーナーの管理方法なのだ。

 そこで最新のマンション標準管理規約を見てみると、民泊の態様を3つに分けている。①家主居住型②家主同居型③家主不在型だ。
 ①家主居住型とは区分所有者がその専有部分または同じマンションの別の専有部分に居住しているパターン。②家主同居型とは、専有部分に区分所有者が居住している場合。そして③家主不在型とは①と②以外という考え方だ。

 つまり上記の①~③のどのパターンの民泊を許可するかによって、民泊を許容できる幅が広がるという考え方。これらの考え方はマンション標準管理規約の第12条関係のコメントに披歴されているので、ぜひ一読願いたい。

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