最新のマンション標準管理規約の第32条六に、管理組合の業務として「修繕等の履歴情報の整理及び管理等」という項目がある。これは具体的に言うと、管理組合は以下の情報(データと言ったほうがよいか)を整備保管しておかなくてはならない、ということだ。どのような情報かというと、
1、大規模修繕工事、計画修繕工事、設備改修工事等の実施時期、箇
所、費用、工事施工者等
2、設備の保守点検記録
3、建築設備点検、特殊建築物定期調、防火設備点検、エレベータ法
例点検 (対象でないマンションもある)
4、消防設備点検(法令)、その他法令点検(貯水総点検等)
5、その他(耐震診断結果、石綿使用調査結果等)
上記1~5は当然として、その他、マンション特有の修繕及び点検結果報告があるかもしれない。築年数が経過するばするほど、普段の修繕箇所は多くなってくると思われ、修繕履歴情報も丁寧に保管していかなければ散逸していく可能性もある。
ご自分のマンションのどこに、どのように上記のような情報が保管されているのかを確認してみると、すべてが揃っており、すぐに提示できるというマンションは、相当に貴重なマンションである。
令和4年4月にスタートした管理計画認定制度の認定要件としても、マンション管理規約の中に「修繕等の履歴情報の保管」が管理組合の業務として記載されていることとなっている。
しかし、これは管理規約にその文言を記載されていればよい、ということであり、実態までは調査されない。最新のマンション標準管理規約に則り、管理規約を改定すれば、そのマンションは最新版となり、同条項も当然乗っかってくるのだから。
今後は、その実態までもが調査されるような日がくるかも知れない。
それほどまでにマンションの修繕履歴は大切であるということだ。修繕履歴がないと長期修繕計画表が作成しずらい。つぎの大規模修繕工事の時期を推定しずらい等の問題が出てくる。そもそも修繕履歴がないと、修繕した箇所の保証内容やその期間さえも分からない。多くのマンションが輪番表等で役員の交代を行っており、新たな問題が健在化した場合に、過去の修繕履歴に照らし合わせる場合、問題の継続性がとられていないと、新理事には問題の本質が見極めにくい。
管理会社に管理を委託している場合は、管理会社が組合の承諾を得てデータとして保管しているかもしれない。それらの所有権も、明確にしておいたほうがよいかも知れない。